第29回 ビジネス日本語スピーチ・コンテストが開催
2月13日、ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)において、第29回ビジネス日本語スピーチ・コンテスト(ジェトロ・ロンドン事務局、SOAS主催)の本選が開催された。日本語の学習を通じて、日本のビジネス文化理解と日英ビジネス交流の発展を目的としている。参加資格者は、日本語を母国語としない欧州連合(EU)加盟国出身であること。日本のビジネス文化について日本語でスピーチを行うことで、出場者たちはスピーチの内容や日本語能力、質疑応答能力などを試される。
8人のファイナリストのうち、見事優勝を飾ったのはグレアム・ロレンスさん。日系企業に30年勤める自身の体験談を基に、日本人と英国人が一つの職場で働く上で起こる両者間の摩擦に焦点を当て、互いの文化の特徴に配慮しつつ、3つの点から前向きな職場環境を作ろうと提案した。1つ目は責任感について。英国人スタッフには責任感が足りないと感じている場合でも、日本人社員はそれを相手に伝えられないケースが多いとし、英国人スタッフに対する不満をため込まず、ストレートに伝えることが大切だと述べた。2つ目は、数字や計算に関して。英国人は大雑把なのに比べ、日本人は細かいのが特徴、その背景には文化の違いがあると説明した。英国人は全体像を見るのに対し、日本人は詳細を追及しようとするとした上で、どちらも一理あるので、大事なのは互いの背後にある考え方を理解し、尊重し合うことだと述べた。3つ目は言語と会話について。母国語以外で話す場合、言語の壁があることを理解し、相手に考える時間を与えるなどの配慮が必要と訴えた。
第2位になったのは、目を閉じて聞くとまるでネイティブのような、流暢な日本語で会場を魅了したユスティナ・ブクタさん。ブクタさんは、日本語のできる外国人スタッフに起こりがちな事柄を、ハンガリーの日系企業で働いた際に自身が感じたことを基にスピーチ。その日系企業には、日本人、現地スタッフ、日本語を話せる外国人スタッフの3つのカテゴリが存在したが、外国人スタッフは日本語が話せるにもかかわらず、日本人の顧客と直接関わる業務を任されることがなかったと説明。英国ではこのような場合、日本人スタッフと外国人スタッフが区別なく扱われるので、これは日系企業特有の現象であると述べた。そして、社員をこのように区別することが、今後、企業のグローバル化を進めていくうえで障害になるのではと指摘。改善策として、この3カテゴリの人材の境界線を取り払い、ひとり一人を対等に扱うことで、柔軟性や多様性のある組織が作ることができるだろうと締めくくった。
第3位は、昨年に続き2回目の出場となったロバート・マラチネさん。Y世代(ミレニアル世代、1980年代~90年代前半生まれ)からZ世代(90年代後半~2000年代生まれ)の変遷と題し、Y世代は既に社会人となったZ世代の価値観を理解するのに苦労しているという現状を発表した。