イギリス的出会い系広告批評 ~蓼食う虫も好き好き編~

By 編集部員(籠)

皆さん、こんにちは。先週から開講している「出会い系広告批評」の講座を担当している(籠)です。

先週は、女性が男性に向けて書く出会い系広告には、「①若くてセクシーで魅力的な女性が、②カッコ良くて誠実かつお金持ちの男性を募集中」との定型があるという、我ながら鋭い分析を教授しました。今週は、再び5月22日付の「タイムズ」紙を参考書として利用しながら、自分の好みを伝える②の部分の書き方を見ていきましょうか。

まず、女性が男性に求めるのって、やっぱり「誠実さ」みたいです。ただ難しいのは、出会い系広告を通じてコンタクトを取る人って、悲しいかな、世間ではあんまり誠実と思われない傾向があるんですよね。本当は僕みたいに、あっじゃなかった、ともかく誠実な男性がウェブ上にはウヨウヨいるのですが。一方で、そもそも出会いがなければ、誠実さをアピールすることさえできない。そんな矛盾点を如実に表した広告がこれ。

「European lady, WLTM white gentleman who does not normally use dating ads(欧州出身の女性が、普段は出会い系広告を利用しない白人男性との出会いを求めています」

広告の向こう側にいる素敵な女性は、出会い系広告を閲覧するような男が嫌い。でも、出会い系広告を見なければこの人には出会えない。うーん、僕にはこの方程式が解けない。評価が難しいのですが、まあとりあえず0.5点を出しておきますか。

しかし、女心というのは本当に複雑です。誠実さを求めながらも、危険な香りがする男性にも惹かれてしまうということもあるみたいです。例えば、こんな広告。

「Petite 40s seeks Knight in shining Armani, preferably tall, dark and dangerous(小柄な40代の女性が、輝くアルマーニのスーツに身を包んだ騎士を探しています。できれば、背が高くて、色黒で、そして危険な男」

マフィア風の男性からの応募が殺到しそうです。この広告を掲載した女性の身の安全を祈るという意味も込めて、1点あげます。

さらには、こんな条件を求めている女性もいました。

「Must be interested in politics and right wing(右翼求む)」

日の丸の鉢巻とともに街宣車に乗ってデートに駆けつければ、この女性を口説き落とすことができるかもしれません。一般に右寄りといわれる「タイムズ」紙の読者を見事に狙い打ちしたマーケティング手法が見事なこの方には、2点を与えます。

おっと、今週も既に終わりの時間になってしまいました。また来週、お会いしましょう。(籠)

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