ロンドンロックダウン生活、いかがお過ごしですか? – 現地レポート

イギリス全土でロックダウンが始まってからすでに1か月が過ぎました。ロンドンに住む友だちや知人に、どんな日常を過ごしているのか聞いてみたところ、画像とともに近況報告が届きました。

時系列で見るロックダウン中の心境変化
ノッティング・ヒル在住のSさん

イギリスでは、ロックダウン開始からもうすぐ1ヶ月になります。ロックダウン開始からの個人的な変化を、時期ごとに振り返ってみました。

ノッティング・ヒル

いつもは観光客で賑わうPortobello Marketへの道も、人気がなくガランとしています

①初期フェーズ(ロックダウン開始〜1週間前後)
とにかく気持ちが急いて、「何をしたらいいかわからない」状態。
毎日ニュースサイトを頻繁にチェックし、普段は買わない保存食を備蓄し、仕事中の集中力も切れ切れに。
日本のコロナ対策の状況が心配で、マスクやハンドジェルを家族や友人に送り続ける日々。

②中期フェーズ(ロックダウン1週間後〜3週間後)
生活のペースを掴みはじめ、ニュースサイトのチェックも1日1回程度に。
一週間のスケジュールを組み思い悩む時間を減らすことで、集中力も回復してきました。

花を部屋に飾る、インテリア用品を買うなど、室内の生活環境を豊かにする方向に意識がシフトしました。友人とたわいないおしゃべりをすることで、人とのつながりのありがたさを実感した時期。

③後期フェーズ(ロックダウン3週間後〜)
ロックダウン生活が「日常」になり始めました。
自分の仕事以外にも気が回るようになり、新しい企画を考えたり、イレギュラーの対応を積極的に行うなど、発展的な仕事にも意識が向くように。

オンラインコースの視聴を始める、積ん読状態だった本を読み始めるなど、プラスαの活動も始める余裕ができました。

まさに未曾有の状況ではありますが、手洗いやソーシャルディスタンスなど基本的な「するべきこと」を意識しながら、時勢にあったコンテンツ作りなど発展的な「やりたいこと」を考えると、日々の活力が湧いてくるように感じています。

Covid-19との闘いは長期間に及びそうですね。とはいえ、明けない夜はありません。
最後に、エリザベス女王のスピーチの一部を引用して、結びのご挨拶に代えさせていただきます。

We should take comfort that while we may have more still to endure, better days will return: we will be with our friends again; we will be with our families again; we will meet again.

皆様のご無事とご健康を、心よりお祈り申し上げます。

 

イギリスでの衛生観念が変化
ノースロンドン、ハーリンゲイ在住のKさん

イギリスではマスクを使用する習慣がありませんでしたが、今回のパンデミックを受けて、その着用についてが議論になっています。マスクをつけているイコール重い感染症患者と捉えられてしまうそうで、以前はマスクをかけていようものなら、奇異の目で見られること必至でした。私もどうしても周囲の目が気になってしまい、マスクをかけたいときにも我慢をしていました。そんなイギリスのマスク事情でしたが、今ではマスクを使用する人が増え、スーパーへ行くと6、7割ぐらいの人はかけています。

マスクと除菌シート

マスクの効果については、感染予防よりは、自分の咳やくしゃみによる飛沫が飛び散るのを防いでくれることがいちばん大きいそうですが、COVID-19は無症状の場合もあるので、着用が広まることはとても良いことだと思います。その他にも、スーパーで買ってきたものは、除菌シートで全て拭き着ていた服もすぐに着替えて洗濯。そんなことが当たり前になり、日々イギリスでの衛生観念が変化していくの感じています。気の抜けない日々が続きますが、一人ひとりが気をつけて生活しなければ状況は改善しませんので、引き続き感染予防に努めていきたいと思います。

 

ロックダウン中のエクササイズを探して・・・
イーストロンドンにお住まいのEさん

ロックダウン生活が始まってからは、すぐ近くの小さなスーパーに出かけるくらいの距離しか歩いていなかったため、家の中で続けられそうなエクササイズは何かないだろうかと考えていたところ、日本で一時流行った(?)ヨガポールのことをふと思い出し、早速オンラインで購入!

ヨガポール

既にこの頃には、ヨガマットなどのエクササイズ用品は品切れのものが多く、欲しい色が選べない状態でしたが、背に腹はかえられぬ。ということで、とにかく購入して説明書を片手に使用を開始してみたところ、これがなかなか当たりでした!エクササイズというよりも、寝そべりながら重力に任せたマッサージをしている感じなのですが、一日の終わりに体を解すのにとても重宝しています。

次はマッサージではなく、本格的な運動を始めなければ・・と思いつつ、しばらくはこのヨガポールのお世話になりそうです。

 

初めての編み物に挑戦!
カムデンタウン在住のMさん

初めの頃こそ、このロックダウン生活をどのように過ごしていけばいいのかわからず、ひたすら寝てみたり、はたまたYouTubeやNetflixを夜通し見たりと、少しふしだらな生活を送っておりました。

この生活も1ヶ月がたち、良くも悪くも慣れてきた感があります。

初めてスコーンを焼いて、案の定失敗したり、ルバーブで梅ペーストもどきを作ったり、友だちに教えてもらったTOFTというところの初心者用あみぐるみキットを購入して、夜な夜な編んだりしておりました。

こんな機会でもなければ編み物をすることもないだろうと思い試してみたのですが、無心になれて楽しかったです。

ぎこちないながらもなんとか形になり、安心しました。

編みぐるみ

 

歌って踊るカラオケナイトでストレス発散!
ノースロンドン在住Sさん

ロックダウン中、フラットメイトと楽しんでいるのは週末のカラオケ大会。YouTubeを通じてMVをテレビに流し、ひたすら歌って踊るだけなのですが、これがいいストレス発散法になっています。最近の曲から懐メロまで、好きな洋楽を歌って踊って飲んで寝る。パブ飲みが好きな英国人のフラットメイトにとって、家で飲むしかないこの期間は苦痛でしかないようですが、平日夜遅くまで家を空けることが多い私にとっては意外にも相手のことをよく知る良い機会だと捉えています。おかげさまで、くだらないことで平日も真剣に話し込んだりと、割と楽しく過ごせています。

話は少し変わりますが、私の初めてのカラオケin英国は、現在の家の近くのパブでした。週末にカラオケ・ナイトを開催する有名なパブがあり、件のフラットメイトと一緒に行ったのがその時。バー・カウンターの横にカラオケ設備を備えた小さめのステージがあり、そこにお客さんが飛び入りで参加する、というシステムでした。大勢の前で歌うなんて羞恥プレイすぎる、ということで私は見ているだけでしたが、少しやんちゃなエリアにあるパブだからでしょうか、ガテン系のおじさま、アニマル柄の洋服を身につけた強めのお姉さまたちが入れ替わり立ち替わりステージに上がっていくではないですか。音痴だろうが誰も気にしてない、なんならマイクの取り合いすら起こってる。真冬だったんですが、もうびっくりするくらいの熱量でした。新鮮な空気を吸いに外に出たら、モクモクの喫煙所で人がギュウギュウ、ビールを片手にあーだこーだと熱く語っていました。ちなみにうちのフラットメイトはそのド真ん中に立ち「明日ワタシの誕生日なんです!!!」と宣言して、周囲から拍手をもらってました。

話は家カラオケに戻りますが、先週は平日の一夜も特別に開催することに。ヒートアップしすぎて、夜中の3時までドスドスと踊ってしまい、階下の方々、本当にすみませんでした。お酒も入っていたので記憶がぶっ飛び、翌朝iPhoneの写真で詳細を知りました。

踊る

終わりの見えない手洗い洗濯の恐怖
ノースロンドンの森の中にお住まいのSさん

ロンドン郊外とまではいかないものの、ゾーン3で買い物には不便なエリアに住んでいます。自室の窓の外は大小の植物のおかげで隣家も見えず、ちょっとした森の中状態。聞こえてくるのは鳥の声ばかりです。外出制限の不便さと引き換えに、何やら豊かなものを受け取っているような気がします。ところがそんななか、新型コロナのため近くのコインランドリーが営業停止に。今のフラットは地下に共同の洗濯機があったのですが、壊れて以来住人たちは皆なんとなくそのコインランドリーを使っています。でも今後は洗濯を手洗いで?いつまで?想像したこともない恐怖が襲ってきました。

美しい木々

ところで、米児童小説に「Little House in the Big Woods」というのがあります。邦題は「大きな森の小さな家」で、その昔「大草原の小さな家」というタイトルでドラマ化もされました。西部開拓時代のある家族の日常を、ローラという少女の視点から書いた半自叙伝です。町は遠く、ローラの毎日は森の中の一軒家で完結しており、話す人といえば両親と姉と、後はまだ赤ちゃんの妹だけ。でも単調なはずの日々は、ソーセージやベーコン作りをはじめ、不便さゆえの忙しさと楽しさに満ちています。

Wash on Monday, Iron on Tuesday, Mend on Wednesday, Churn on Thursday, Clean on Friday,
Bake on Saturday and Rest on Sunday

というのがローラの家の日常でした。(木曜日のChurnというのはバター作りのようです。)
小さいころに楽しく読んだこの本を、私はiPadに入れ直しました。今や実用書として読もうと思っているのです 。

 

在宅勤務のオフィス問題
ノースロンドン在住のMさん

外出制限が発令されてから、在宅勤務になった方も多いのではないでしょうか。

夫婦揃って在宅勤務となった我が家は、一日の大半となる自宅でのデスクワーク環境がどれほど健康に影響するのかというのを夫が身をもって味わいました。。

元々パソコン環境で使用する椅子は1つしかなかいため、代用として夫は食卓用の椅子を使用することになったのですが、テーブルと椅子、パソコンの高さが合わず、頭痛や肩こりを訴えるようになりました。

さらにはその椅子が壊れてしまい。。昔から立て付けが悪く長時間使用するには耐えきれなかったのかもしれないですが、まさかこのタイミングでか!!と、すぐに大家に伝えましたが、今どこも閉まっていてすぐには買えないとの予想通りの回答。。

いろいろと調べてみたところ、バランスボールはいいようで今は食卓用の椅子2号とバランスボールを併用し、肩こりも頭痛も改善されたようです。

壊れた椅子と大活躍のバランスボール

壊れた椅子と大活躍のバランスボール

ご参考までに在宅勤務のデスクワークお役立ち情報としてこの様なチェックリストも。
https://www.hse.gov.uk/pubns/ck1.pdf

そしてもう1つ、通常オフィスでパソコンを2画面で使用している方へ。
お手持ちのテレビやタブレットを使用してデュアルモニターの環境を構築することも可能です。

有料ですが、私は以下のiPadのアプリを使用しています。

https://ja.duetdisplay.com/

皆さまもいろいろ工夫されているとは思いますが、くれぐれも健康にはお気を付けください!

 

運動と食と、人との繋がりについて
ノースロンドン在住のSさん

ロックダウン以来やや不自由な生活が続いている中で、自分にとっていくつか良い発見がありました。

まずは運動について。

普段通っていたジムが閉鎖されてから、めっきり運動不足になってしまいました。それを解消すべく、毎週末ロング・ウォーキングを行っています。幸いなことに天気が良い日が続いているので、春の陽気を満喫しながら一度に10km近く歩くことも。今まで気づかなかった家の近くの新しいウォーキング・コースも発見しました。また、植物や鳥たちを観察しながら歩くのはとても清々しく気持ちがよいものです。

公園に咲くdaffodils(ラッパズイセン)

公園に咲くdaffodils(ラッパズイセン)

人工湖

人工湖には野生の白鳥やカモが

それと食について。

買い出しにもあまり頻繁に行けないので、スーパーに行くときは一度に一週間分くらいの食材を買います。たまに買いすぎて、賞味期限が迫ってきた食材をどう使い切るかということで頭を悩ませたり。一度日本のかぼちゃを1つ丸々買ったら大きすぎて使い道に困ったので、かぼちゃのチーズケーキを作ることにしました。案外簡単に作れて美味しかったので、それ以来ベイキングを時々やっています。ベイキングは難しいものだという勝手なイメージがあったので今まで挑戦していなかったのですが、いざ探してみると簡単に作れるレシピがオンラインでいくつも見つかったので、これからも続けていければと思います。

そして人との繋がりについて。

イギリスは、イタリアを追うように感染者や死者数が増えているのが現状です。日本でもヨーロッパの状況は大きく報道されているようで、心配してくれた家族や友達から連絡がきました。世界中がコロナウイルスで大変なことになりましたが、このような状況だからこそ、人の思いやりをより感じれるようになったような気がします。イギリスではNHSのためのチャリティーが活発に行われていて、それを報道でみていると皆でこの危機を乗り切ろう!という気力と優しさを感じます。

まだしばらく在宅生活が続く可能性がありますが、各自がその中でも楽しみを見つけ、元気に過ごせていることを願っています。

 

小麦粉の代用品としてオススメの粉!
ショーディッチ在住のMさん

ロックダウン直前からスーパー・マーケットの棚から消えてしまった小麦粉。買い物で外出する度に在庫があるかどうかチェックしていたのですが、先日近所のテスコで「Chapatti Flour Medium(チャパティ用の中力粉)」を発見。
チャパティとはインド、パキスタンなどで日常的に食べられている薄いパンのことですが、そもそも専用の粉が売っているとは知らなかった……。原材料も「Wheat Flour」と書いてあるし、しかも「great taste」二つ星付きだったので、とりあえず普通の小麦粉が手に入るまでの代用として買ってみることにしました。チャパティ粉ってどんなものなんだろうと早速マフィンを作ってみたとろ、実にしっかりとした味わいと食感があり、なかなか美味しい生地が出来上がりました。 もちろん他の料理にも問題なく使えており重宝しています。

ちなみに外出制限35日目となった4月26日現在、私の地域ではいわゆる普通の小麦粉をスーパー・マーケットでは見かけていないのですが、オーガニック・ショップや個人経営の食料品店などでは手に入るようになっており、徐々に流通が落ち着いてきているような気がします。

チャパティの粉

 

ゴミ問題
イーストロンドン在住のSさん

ロックダウンになった当初、人手不足でゴミの収集日が不規則になり、収集場所がゴミだらけということが何度かありました。いつくるかわからないゴミ収集車を待って聞き耳を立てる毎日で、車の音が聞こえたら大きなゴミ袋を持ってフラットの階段を駆け下り、走って車を追いかけたりしていました。でもゴミ収集の方たちは車を止めて待ってくれたり、とても親切で感激しました。医療従事者はもちろんですが、いろんなところで社会を支える人たちにお世話になっていることに改めて気づく日々です。

リバプールストリート駅

ロックダウン中、ひとけのないリバプールストリート駅

Please Believe

道端のポスター「Please Believe These Days Will Pass」

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