冠詞の使い方が分からない その2

By 編集部員(籠)

僕が「冠詞のルールを明確化する」ことを21世紀の英国がまず取り組むべき課題として提言してから既に1週間が経つにも関わらず、変革が起こる兆しすらまだ見えてきません。総選挙が終わったばかりだというのに、いまだ英国の政界は深刻な閉塞状況に陥ったままのようです。残念の一言です。

先週、単数形と複数形の違いについて我ながら非常に明晰で論理的な考察を披露してみましたが、ついでに言うと、「a」の「the」の使い分けもこんがらがっちゃいそうではありませんか。しかも、「a」も「the」も付かないときってあるでしょ。

例えば、「Police」。僕の手元にある辞書には、「Police surrounded the courthouse」と、「Call the police!」という例文が載っています。知り合いの英国人に、「the」が付いたり付かなかったりしているけど、あんたたち一体どうしたいの? と問い質したところ、「前者は警察組織で働く職員を指す言葉として使われていて、不可算名詞。後者は組織全体を指しているからまた用法が違う」と、明らかに後付けの屁理屈をこねていました。そもそも、なんで警察職員が「数えられない」のか、という点からしてよく分からん。

ちなみに「Police」の説明にしどろもどろだったその英国人の知り合いは現在、日本語を学習中。その彼が、「『は』と『が』の違いって一体何ですか」と尋ねてきました。それは「『主題』と『主格』の差だよ」と教えると、「じゃあ、『主題』と『主格』の違いって何ですか」とまた得意の屁理屈をこねてきたので、「勉強っていうのは自分で調べて初めて身に付くものなんだよ」と、学問の極意を伝授しておきました。それでも懲りずに、「『は』と書いてあるのに、なぜ『わ』と発音するのでしょうか」と突っかかってきたので、「それが日本語の奥深さなんだよ」と諭しておきましたが、確かに外国人学習者にとっては分かりにくいのかも知れませんね。

そこで提案です。日英の首相なり外相が会談して、「英語が冠詞をなくせば、日本語は「は」をなくす」っていう取り決めにしたら、日本人の英語学習者及び英国人の日本語学習者たち双方の負担が随分と減るのではないでしょうか。駄目ですかね。(籠)

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