裸体、流血、W杯

2006年7月11日 By 編集部員(籠)

ついにW杯が終了しました。世界最高レベルの選手たちによる素晴らしいプレーを毎晩のように堪能できて、贅沢な時間を過ごすことが出来たな、というのがまず第1の感想です。しかし今回のW杯で最も僕の心に残ったのは、「フーリガン」とも呼ばれるイングランドの熱狂的ファンたちの姿でした。 ベッカムの芸術的FKが決まってエクアドルに1-0の勝利を収めた直後にはすでに、トラファルガー広場に歓喜の輪が出来ていました。とにかく何か特別なことをしないと気が済まない彼らは、次々と広場の噴水にダイブしていきます。中にはイングランドの国旗がプリントされた特製ブリーフを履いた男性や、下着姿で恥じらいのひとつも見せない勇敢な女性もいて、これらの変な英国人たちが噴水の中で皆肩組んだり抱き合ったりしながら歌っている。狂気じみた世界です。

特に目を引いたのが、恐らく20代前半ぐらいの英国人女性。この女性、下着姿で噴水に飛び込んでいた女性陣の1人で、常に缶ビールを手にしていたのでかなり酔っ払っていたんだと思います。このような状況下では周りにいる人たちも酔っ払いばかりなのですが、彼らがこの女性に「脱げ、脱げ」と騒ぐんです。で、その彼女は、なんとこれらの要望にしっかりと応えて自分の胸をチラ、チラと見せるではありませんか。ストリップ嬢もびっくりの出血大サービスに喜んだまた別の変な男性が続けて脱ぐと「お前の裸は要らない!」とのヒンシュクを買って、周りの人間に頭を押さえつけられて水中にブクブクと沈んでいく光景が続きます。余りのドタバタぶりに、お笑いコントを見ているのかと錯覚を覚えたほどです。

イングランドの準々決勝敗退が決まったポルトガル戦の試合終了直後には、レスター・スクエア駅近辺を大量のフーリガンがなぜか行進していました。さらに驚いたことにその50メートル後ろからは、さらに大量の警官がのしのしと揃って行進してきます。で、一見特に何も危害を与えていないようなフーリガンを挑発した挙句に、大勢で押さえつけてパトカーに収容していくのです。世界の大都市ロンドンで、白昼に血だらけになっている男が次々と警察に連行されていく。かなり非日常な光景でした。

2年後には、こちらではW杯と同じくらいの盛り上がりを見せるサッカー欧州選手権の本選が開催されます。その時にはまた色々と不可思議な光景を頻繁に目にすることになるのでしょうか。サッカーの母国、イングランドならではの熱気をまた味わうのが楽しみです。(籠)

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