テムズ河が汚い理由がよく分かった その1
by 編集部員(籠)
皆様こんにちは。英国ニュースダイジェスト編集部の(籠)です。ロンドンの様々な建築物が一般公開される「オープン・ハウス」の機会を利用して、ロンドン東部にある下水処理場に行ってきたのでレポート致します(ときどき汚い描写があるので、お食事中の方はご注意を)。
ドックランズ・ライト・レイルウェイの東端の終点であるベクトン駅からさらにバスに乗って10分ほどのところに、ベクトン下水処理場なるものがあります。ここは「テムズ・ウォーター」という民間の水道局が管轄している場所で、ここでロンドンの下水の処理を行っているわけです。
下水処理場の受付にあった「テムズ河はあなたが思っているほど清潔じゃない」と書かれたポスター。下水処理を仕事としている会社がこんなにあけすけに書いたものを張り出していいのか疑問に思ったりもして
受付で登録を済ますと、テムズ・ウォーターの関係者らしき人がさっそく何やら説明を始めてくれました。無料で提供されたコーヒーとビスケットを片手に話を聞いていると、いきなり僕の耳に衝撃的な情報が入り込んできまして(途中で思わずむせちゃった)。
まず、ロンドンは150年ほど前につくられた下水システムをいまだに使い続けているんだそう。まあそれはそれで結構なことなのですが、問題はこの下水システムが古すぎでガタがきているのと、あとロンドンという街の人口増に対応できていないそうなんです(そういう話はロンドンの地下鉄とか住宅事情とかでもよく聞きますね)。
で、処理しきれない下水が大量に出てしまうわけなのですが、これをどうしているかというと、
テムズ河にそのまま垂れ流しているらしい。
ひょえー。平均して週に一回の頻度で処理しきれない下水を放出しているそうで、その量は年間3900万トン。ワイルドだろ~。2ミリの雨が降っただけで放出の可能性が高まるらしい。脆弱すぎだろ~。どうりでテムズ河が汚いわけだ。
あまりにワイルドすぎるこの現状はさすがに欧州連合(EU)の関連機関から目をつけられているようで、多額の罰金が科される恐れがあるそう。だからテムズ・ウォーター社は様々な施策を用意しています、というのが本見学ツアーの導入部分でした。
EUがなかったら、あんたたち垂れ流しのままでいいと思ってたでしょ。
って思った見学者はきっと僕だけじゃなかったはず。ということで、驚きすぎてせっかくもらったコーヒーを飲みきれないままに見学ツアーのバスに乗り込んだのでした。(続く)
リンク:
特集:オープン・ハウス・ロンドン2013 (5 September 2013 vol.1394)
特集:建築家ウィル・オルソップ氏インタビュー(4 January 2013 vol.1378)
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