イギリスの地方のお祭り「ジャック・イン・ザ・グリーン」に行ったら緑すぎた

ご無沙汰しています、(葛)です。みなさま、急に暑い毎日が到来しましたが元気に過ごされていますか?夏らしいこと、楽しめていますか?

私は暑かった週末に庭いじりをして(室内に飾っていた球根の花を鉢ごと庭に放りっぱなしだったので土に埋めなおしただけ)、植物と一瞬戯れました。あまりにも日の光が強すぎて適当な感じになってしまいましたが、兎にも角にも植物には本当に癒やされます。

植物といえば、5月にずっと気になってたイベントに行くことができました。イングランド南部ヘイスティングスの祭りで、その名も「ジャック・イン・ザ・グリーン」!!この祭り、簡単にいうと目に優しい緑に身をかためたレベル100の仮装パレードなんです。

日本にも血湧き肉躍る地方の祭りがたくさんありますが、イギリスも同じようにその地に根ざした祭りがたくさんあります。「ジャック・イン・ザ・グリーン」もその一つで、17世紀ごろからイギリスの各地で登場し始めましたが、なんせ民間伝承なのであまりかしこまった形の文献として詳細が残されておらず、その地に住む労働者が始めたパレードとか、豊穣の精神を表すグリーンマンのイベントだったとか、起源ははっきりはわかっていないようです。

こちらがグリーンマン。結局緑をイメージするものならなんでも一緒でいいね!?みたいな感じに、至る所に飾られていました

しかし確実にわかっているのは、馬鹿騒ぎしすぎ!!!ということでその治安の悪さからバンされた時代もあり、現在に見られるイベントはそのリバイバルになります。民衆の力を舐めるんじゃねぇ!ってところでしょうか。

イギリス各地で似たような祭りがありますが、ヘイスティングスのは毎年メーデーの日に開催され、今年は4月28日から5月1日に行われました。

街中も植物の装飾でいっぱい。緑×リボンがここまでフォークロアらしさを爆増させるとは知らなんだ

いやあ本当にかわいかったです

ヘイスティングス駅近くの新市街あたりにホテルを取り、30日から現地入りしました。パレードが行われる旧市街までは徒歩20分くらいなので、車がなくても簡単に見にいくことができます。

ちなみに1月の終わりくらいにホテルを予約したところ、すでに結構ホテルがうまってて選択肢がかなり限られていたので、泊まりがけで遊びに行く場合はなるはやで取ることをおすすめします。

連日いろんなイベントが行われたり、限定品の物販もあったりするので、開催期間ならどのタイミングで行っても楽しいと思うのですが、メインイベントは最終日の街中パレード。行列の先頭を歩くのはイベント名である「ジャック・イン・ザ・グリーン」で、生の緑で埋め尽くされた大きな円錐状のフレームの中に人の顔がある生き物(?)です。イベントの最後でこれを「殺す」ことで冬の終わりを意味し、夏の到来をみんなで喜ぼう!というもので、簡単にいえば「初夏到来祭り」ですね。

これがジャック・イン・ザ・グリーン。のしのしと歩くのではなく超スピードで回転したり上下に動いたりとかなりアクティブに動きます

パレードの参加者はこんな感じ

ク、クオリティーが高すぎやしないか!?

ほとんどの人が生の植物をたっぷり使って、これでもかと飾り立てていました。また、電動車椅子やバギーやら、足が悪いおじいちゃんもまだよちよちの赤ん坊も参加しているあたり、本当にイギリスですねー。老若男女全員いました。

この写真はほんの一部で、こんな仮装した人がわんさかいるほか、楽器隊、モリス・ダンサーなどなどが歩き、どんちゃん騒ぎながら市内の丘に向かって数百人+沿道の観客が坂道を一緒に登っていきます。

ちなみに健脚な年配の人も参加してたんですけど、この坂がまあなかなか急勾配で、パレードはちょっと進んでは休憩するサイクルを永遠と繰り返し、その間に列にいた参加者もパブから飲み物をもらうために列から離脱したりと、かなり自由な雰囲気でした。神々しい緑の神みたいなやつが、沿道でビールをすすっている姿を何度も見かけました。

また、一般客の飛び出しを制するガードマン的な人も特におらず、旧市街の細い道を登って行くので、邪魔しないように気をつければかなり接近して写真が取れるのも観客としてはありがたいポイントでした。

そんなこんなで丘(West hill)の頂上に着くと、視界がパアアアア…!とひらけます。ヘイスティングスは海辺の街なので、海に人に、一つの目的の下に集まって…なんか目頭があつくなる景色でした。なんか携帯も何もない、昔の時代に突如タイムスリップしたような…。

あれ、感動してるの私だけ?皆さんのこと置いてってますか私?

これでもかなり前の方に陣取った感じで、私の後ろにもさらに人人人人。

仮説ステージで演奏したり、ダンスを披露したりしたのち、ジャックが殺される場面になりました。剣で袈裟斬りェ!ではなく、ジャックが一通りジャンプしたりクルクル回ったりして最後に横たわる、という様式美な感じ。終盤に体から葉っぱがむしられて、ステージから観客に向かってどんどん投げられていきます。これをゲットできると幸せが訪れるという言い伝えがあり、みんな必死にもらっていました。ここだけフェスみたいに軽い人雪崩が発生しましたが、たまたま私がいたゾーンは一本の枝についたたくさんの葉を一枚取っては後ろの人に渡す平和主義な人が多く、安全にもらうことができました。優しい世界だったなぁ。最初から最後までとっても楽しい2日間でした。

イギリスにはこういった魅力あるフォークロアに基づいたお祭りやイベントがいっぱいあります。先日出したフォークロア特集では、ジャック・イン・ザ・グリーンの詳しい情報や、そのほかの地方祭りをたくさん紹介しています。ちょっとマニア向けかもしれませんが、この夏に行われるイベントもたくさんあるのでぜひご覧ください!

Hastings Traditional Jack in the Green
https://hastingstraditionaljackinthegreen.co.uk/

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