「EXECUTIONS(処刑)」展でロンドンの暗黒の歴史を見た

ミュージアム・オブ・ロンドン・ドックランズの「EXECUTIONS(処刑)」展。 12〜19世紀に執行されていたロンドンでのPublic Execution(公開処刑)の重い歴史や処刑された人々の横顔、そして処刑に対する世間の反応などを紐解くエキシビションをさわり程度にご紹介します。
* このようなテーマが苦手な方は閲覧にご注意ください。

execution exhibition

「EXECUTIONS」展の入り口

記録によるとロンドンで一番最初に公開処刑が行われたのは1196年にタイバーン(現在のマーブル・アーチ)で、最後がニューゲート監獄で執行された1868年。700年の間に国王から一般市民まで何万人もの人が公開処刑されました。公開処刑は犯罪や暴動などを抑止するための見せしめであったり、公開することにより王政や教会などの権力を見せつけるものとなっていました。また現代に生きる私たちには理解し難いことですが、公開処刑を見ることは当時は庶民の娯楽としての一面もありました。ちなみにロンドンではほかの地域に比べてかなり死刑が多かったようです。

execution exhibition

さまざまな処刑の方法について紹介。犯罪の種類により処刑方法が違うこともあったようですが、大体が絞首刑だったとのこと

execution exhibition

700年間でどのあたりにロンドンの処刑場があったのか分かりやすく説明されているビデオ。処刑場はあちこちに点在しており、想像を超えた設置数でした

ロンドンで公開処刑された著名人といえば、清教徒革命で敗れたチャールズ1世。1649年にホワイト・ホール・パレスのバンケティング・ハウス前で処刑されました。一方、勝者側であるオリバー・クロムウェルは1658年に病死していたのですが、王政復古がなされた後、王殺しの反逆者としてタイバーンで死後処刑されています。当時の様子は本展覧会で貴重な文献で知ることができます。

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チャールズ1世が処刑時に着衣していたとされるベストなどが展示

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牢獄を模したスペース

写真がなかった時代にはエングレービング(銅版画の凹版技法)で印刷された版画は当時を垣間見ることのできる大切な史料となります。本展覧会もかなり多くの版画が展示されていますが、そのなかには英画家ウィリアム・ホガースのIndustry and Idlenessシリーズの一つも展示されているので、版画を鑑賞するのが好きな方には必見かもしれません。

18世紀終わりまでには200種以上の犯罪が死刑とされたそうで、その中には現代では違法ではないものも含まれます。この展覧会では、処刑された人がどのような犯罪でどこで公開処刑されたかリストアップされ、映画のエンドロールのように流れるビデオがあり、改めてその数の多さに驚きました。

公開処刑が取りやめになった後、1861年以降はロンドンの刑務所内で死刑が執行されていましたが、イングランド、ウェールズ、スコットランドでは1969年に廃止となりました。現在、死刑制度がある国は日本も含めて55カ国あり、エキシビションの最後ではその制度のあり方について深く考えさせられるビデオを鑑賞できます。

おぞましいロンドンの歴史、かつタブーとも思われるテーマを事実は事実としてエキシビションとしてまとめるのは流石の一言。普段何気なく見てしまうロンドンの風景ですが、別の一面を見せてもらったような展覧会でした。(縞)

ミュージアム・オブ・ロンドン・ドックランズで2023年4月16日(日)まで開催
詳細はロンドンのイベント情報「EXECUTIONS」

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