ロックダウン明けのレストランはどう変わった? イギリスの外食促進政策「Eat Out to Help Out」体験レポート
8月31日まで、外食代金が50%オフ!
イギリスでは、8月いっぱいまで、レストランなどの外食産業を支援する「Eat Out to Help Out」キャンペーンが実施されています。
新型コロナウイルスの影響で経済的な打撃を受けた外食産業を支援する目的のもと、英国政府が7月15日に発表し、8月3日から31日までの期間で実施。
毎週月曜・火曜・水曜は、対象店舗でイートイン代金が50%になります。一人あたりの割引上限は10ポンドまでで、お酒は割引対象に含まれません。
編集スタッフも、早速このキャンペーンを利用して、普段は行かない価格帯のレストランでディナーを予約してみました。
ロックダウン明けのレストランでは、どのような対策を行っているのでしょうか? 当日の写真を交えてレポートします。
英国政府のウェブサイトから、対象店舗が検索できる
まずは、対象店舗を探すところからスタート。政府のウェブサイトから、自分の居住地に近いお店を検索することができます。
郵便番号を入力して検索ボタンを押すだけで、対象店舗とおおよその距離が表示されるという、便利な仕様。日本で同じキャンペーンを実施したら、こうしたサービスは政府ではなく気の利いた個人が有志で作るんだろうな……と思いながら、近隣のレストランをチェック。
高価格帯のレストランは空き状況に余裕あり
今回選んだのは、ロンドン西部にあるコンテンポラリー・フレンチのレストラン。通常価格は、3コースのディナーで57.50ポンド、テイスティング・コースで80ポンドと、比較的高級な部類に入るお店です。
レストランのウェブサイトからオンライン予約。コーヒーショップやファストフード店は、ランチタイムになると寿司づめの満席状態ですが、このくらいのクラスになると「予約殺到!」とはならないのか、まだまだ選べる日時に余裕がありました。
オリジナルのアルコール・ティッシュやマスク、オンライン・メニューなど、コロナ対策もばっちり!
水曜日の19時、いよいよレストランに入店。
迎えてくれたスタッフは、黒地にレストランのロゴをあしらった、オリジナルのマスクを着用していました。
店内を見ると、テーブルの間隔が十分に開いており、通常時は最大4人掛けと思われる円卓も、最大2人までのセッティングになっています。
席に着くと、個包装されたアルコール・ティッシュが配られました。こちらもお店のロゴ入りで、こだわりが感じられます。
驚いたのはメニューの形式です。紙のメニューを廃止し、オンライン・メニューに変更したとのこと。メニューページのURLを記した、名刺大のカードが配られ、各自スマートフォンなどで閲覧する、目新しいスタイルでした。
割引中でも料理には手抜きなし。美しいプレゼンテーションを堪能
今回は3品のコースを注文しました。コースが始まる前には、木箱のような器にのったアミューズが登場。「プレゼンテーションまで楽しめるレストランに来られるようになったのか……」と、ロックダウン明けの実感が湧き上がります。
スターター、メイン、デザートと、いずれも「自分では絶対に買わない食材を使った、自分では絶対に作れない味と見た目」の料理が続き、これぞ外食の醍醐味! といった気分に。
割引キャンペーン中だから、といった手抜き感もみられず、大満足でコースを終えました。
裾野ひろく展開、事業者にも利用者にもメリットあり
今回の体験レポートでは、ロックダウン明けのサービス提供に対するレストランの工夫を随所に見ることができました。
特に印象的だったのは、これらの対策を単なる義務としてではなく、遊び心とクリエイティビティを発揮しながら実施している姿勢が垣間見えたことです。
とはいえ、低価格帯の店舗では費用対効果が悪く、なかなか工夫をこらすことは難しいでしょう。
また、「Eat Out to Help Out」キャンペーンは、個人経営の事業者であっても、基準を満たしていれば登録できる点がポイント。大企業にとどまらず、中小企業への経済支援策として、裾野ひろく展開されたことは、評価ができるのではないでしょうか。
旅行とは異なり、広域にわたる人の移動を伴わないこと、店内環境の整備を求めることで感染拡大リスクをある程度コントロールできることなど、政策の背景にある意図も理解できます。
事業者にとっては、遠のいた客足が戻るきっかけとなり、利用者にとっては、久しぶりの外食を気軽に楽しむきかっけになる。双方にとってメリットのあるキャンペーンだという実感を持ちました。