読書の愉しみ むりやり編
本と本屋が大好きです。ロンドンに住んでいて悔しいのは、見るからに絶対面白いであろうと思われる本が、英語で書かれているおかげでスムーズに読めないこと。
仕事で必要な本ならすぐ意味を調べてしまいますが、自分が読みたくて購入した本は、はやる気持ちを抑えて、分からない単語を飛ばしつつゆるゆる読み進めることになります。パズルのようになった文章の前後から情景を想像したり、じっとページを眺めて、魔法のように意味が浮かび上がってくるのを待ったりすることもあります。
英語が上達するより先に、こんな隔靴掻痒でしかない読み方にも慣れてしまいました。最近では、読書法としては一種の贅沢なのだと開き直っています。自分の想像力を総動員して読んだ本が、実際に書いてある内容よりはるかに内容が濃かった(ような気がした)こともありました。
改めて日本語版を読んで、無味乾燥で呆然としたり、意味があると思って感心した箇所が、そもそもどこにもなかった、という謎の事象も。きっと知らないうちに自分の頭の中で、新たな物語を作り上げてしまっていたのだと思います。間違いとか英語力不足とかいわれたらまあそうなのですが、そうやってできた物語は自分だけの宝物として大事に記憶していたいかなという気がします。
そういえば、子どものときの読書はそんな体験の連続ではなかったですか? 読めない漢字がとてつもなく重要な意味を持っているように見えたり、何度も出てくる抽象的な言葉に自分なりの意味を付けてみたり。
……というわけで、情報を得ようと思って読むなら辛いですが、自分の頭の中を探検するつもりで、みなさまも何か1冊、日本語以外の本を手に取ってじっくり向き合ってみてはいかがでしょうか。英語が得意でさくさく普通に読める方には、無意味なお話となりすみません。
さて、アマゾンで取り寄せるのもいいですが、本屋で気まぐれに手に取った本が、出会いの1冊になることもあるでしょう。1621号ではロンドンのインディペンデント系書店の紹介を特集していますので、興味のある方はぜひ。(徒)
すぐにでも足を運びたい ロンドンのインディペンデント系書店 9選
http://www.news-digest.co.uk/news/features/23892-bookshop.html