パリ革命日記 Part2

By 編集部員(月)

前回に引き続き、パリ旅行のテーマその2、文学カフェ編です。

食にこだわらない旅もオーケーな私ですが、今回は何せテーマが「文学カフェ」。朝から晩まで積極果敢に攻めました。結果、2日半で5軒。自分で言うのもなんですが、なかなかじゃないでしょうか(ちなみに夕食1回は誘惑に負けて「一人ラーメン」してしまいました)。

今回はぬかりなく、アーティストや作家が多く集ったセーヌ川左岸のホテルをセレクト。そのすぐそばにある「レ・ゼディトゥール」からスタートです。実はここ、文学者が集ったカフェ、というわけではないのですが、「編集者」という名前から同業者として親近感がわいたこと、きっと文学的香り漂う知的な空間のはず、という勝手な思い込みがあったことからチョイスしました。

赤いソファが目を引く店内では、本棚が落ち着いた雰囲気を醸し出しています。友人同士が穏やかに話し込んでいたり、常連のおばあちゃんが一人、静かにステーキなんかをじっくり味わっている光景が素敵。

文学カフェ

片側の壁にはなぜか巨大時計。日々締め切りに追われる編集者の心象風景なのでしょうか……

そして夜はご近所、サンジェルマン・デ・プレ地区にある「カフェ・ド・フロール」へ。お隣の「カフェ・ドゥ・マゴ」とともに日本でも有名な老舗カフェで、哲学者サルトルなどが常連だったとか。お隣は昔、行ったことがあったので、今回はこちらを。

カフェ・ド・フロール

哲学者サルトルがここの2階を書斎代わりに使っていたそうで

翌朝、訪れたのは「ラ・ロトンド」。画家のピカソやモディリアニ、詩人のコクトーらが足繁く通ったというカフェで、深紅を基調とした重厚なインテリアにモディリアニのレプリカ作品がずらり。

ラ・ロトンド

オレンジ・ジュースが絶品! 紙マットには常連のサインがぎっしりと

続いてお昼には、ちょっと離れたマレ地区の「レ・フィロゾフ」。ここは文学カフェではないのですが、「哲学者」という店名に惹かれて。きびきび働くギャルソンや、鴨のコンフィなどの料理もさることながら、ここでノックアウトされたのは、「トイレ」でした。

レ・フィロゾフ

分かりずらいですが、「不思議の国のアリス」でアリスが落ちていくような、ほら穴のような本棚が下まで続いているんです

個室に入れば、「que dois-je faire(私は何をすべきか)」など、哲学的な問い掛けがあったりして、気分を盛り上げてくれます。

レ・フィロゾフ

巨大な鴨。ホロホロかつジューシーで、当然完食

一人ラーメンの夜を過ごしたら、翌日はもう最終日です。オオトリはパリ最古のカフェ「ル・プロコープ」。ここはすごいですよ。1686年創業、ボルテールやルソーなどの革命家、そしてユーゴーなどの文豪が通った、今回の旅のハイライトに相応しい場所です。

実はここでも注目してしまったのが「トイレ」。男性が「シトワイヤン」(「市民」の男性名詞)女性が「シトワイエンヌ」(同女性名詞)となっているのです。「市民よ立ち上がれ!」なんて声が、はるか昔から聞こえてきそう。

ル・プロコープ

壁には革命家の肖像画がずらり

今回周ったカフェはどこも、突如文学かぶれもどきになった私の欲求を満たしてくれる場所ばかりでした。あと、フランスにしては驚くことに、皆サービスがテキパキしていて親切(仏人に対する偏見でしょうか。すみません)。帰り道のユーロスター、ふと気付けば、自宅で寝まくっていてもなかなか直らなかった風邪がどこかへ消えていて、身も心もホクホクに温まっていました。(月)

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