MIYAVIのロンドン公演2015に行ってきた

by (籠)

皆様こんにちは。在英邦人向け日本語情報誌「英国ニュースダイジェスト」編集部の(籠)です。昨年に引き続き、「サムライ・ギタリスト」との異名を持つ天才的な日本のミュージシャン、MIYAVIのロンドン公演に行っていたので報告申し上げます。

会場は、昨年と同じく、ロンドン西部のO2 シェパーズ・ブッシュ・エンパイア。去年はこの2階席に座りながら鑑賞したのですが、今回は彼独特のピックを使わない「スラップ奏法」なるものを間近で見たいと思い、1階に設けられたスタンディングの自由席を購入しました。

ちょっと早めに行って前方を確保するぞと意気込んでいたのですが、甘かった。入り口前にはもう数時間前からかなりの人が並んでいたみたいです。大多数が日本人ではない現地の人々で、熱烈ファンはやっぱり女性が多い印象でした。たぶん10代後半とか20代前半の女の子たちが最前列を陣取っていた気がする。僕のすぐ後ろに並んでいた女の子は「13歳のときからずっとMIYAVIが好き!」と言ってました。今は21歳なんだそうです。つまりは彼女の青春時代はMIYAVIとともにあったということですね。

MIYAVIのファン

左端の子が13歳のときからMIYAVIのファンとのことです


日本人観客はかなりのマイノリティー(35歳の日本人男性である僕はもしかすると浮いていたのかもしれない)。イギリス人だけでなく、色々な国籍の人がいました。聞いたこともない言語があちこちで飛び交っていて、まさに多文化都市であるロンドンの縮図という感じ。

さて、入場してみると、ステージ上にはマイクが4、5本置いてあったので「あれっ? そんなにいっぱい人が出てくるの?」と疑問に思ったのですが、いざ始まってステージに出てきたのは、MIYAVIとサポート・ドラマーのBOBOさんのみ。じゃあ何でマイクの本数がそんなにあるのかと言うと、MIYAVIがステージを縦横無尽に駆け巡りながら次々と違うマイクに移っていくという仕組みになっていたからなんですね。でも少なくとも1階席では、MIYAVIが動くと観客も一緒に動いちゃう(笑)。さらにMIYAVIが「ジャンプ!」と叫ぶと一斉に飛び跳ねたりもするもんだから、ライブ中はずっと上下前後左右と3次元的に動き続けていました。

数曲を披露した後でMCに突入。再びロンドンに戻って来ることができて嬉しい、皆さんありがとうといったことを一通り述べた後で、ネイティブとしか思えない流暢な英語で、最新アルバムそして今回のツアーの名となっている「WE ARE THE OTHER」というコンセプトについての説明を始めました。アジア人の一人として、ロンドンで公演ができることがどれだけ素晴らしいと思っているかということ。今、移民や外国人といったことが世界中で問題になっていて、しかもそうした問題の多くが悲しいニュースをもたらしていること。そして音楽とは、そんな悲しいときでも元気をくれるような、大きな力を持っていること。正確な言い回しまでは覚えていないので若干ニュアンスが異なる部分もあるかもしれませんが、でもその一瞬だけ、今まで大盛り上がりだった会場に不思議な緊張感が漂ったことは強烈に覚えています。それからまた演奏が再開されて大盛り上がりの状態が続いた後で、終盤で表題曲の「WE ARE THE OTHER」を演奏。多国籍の観客が既に一体となった会場内に響く「WE ARE THE OTHER」のメッセージの説得力といったら半端なかったです。海外で公演をするだけじゃない。英語が流暢なだけじゃない。ギターという楽器を使って、国際的なメッセージを様々な人々に届けることができるMIYAVIみたいな人こそ、国際的アーティストの名に相応しいのだなあとしみじみ思いました。

MIYAVIの欧州ツアーはまだ始まったばかりですが、どこもかしこも移民問題に揺れている欧州各地で、「WE ARE THE OTHER」を伝えようとしているだなんて、本当に壮大なことをしでかそうとしているんだなと実感した次第。その思いが一人でも多くのMIYAVIファンの心に届きますように。ロックって、やっぱりかっこいい。(籠)

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MIYAVI ロンドン公演2015

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