時間が変わった
2008年4月1日 By 編集部員(籠)
在英邦人の方々であれば既にご存知かと思いますが、3日前となる土曜日の深夜に、英国では夏時間に切り替わりました。……っていうことを僕はすっかり忘れていました。
しかもまあ、タイミングの悪いことに、日曜日の朝10時から電話取材の予定が入っていたのです。もちろん、本来ならば聖なる休息日となるはずの嬉しい楽しい日曜日なのですが、今回は取材相手となる方があまりにお忙しいので、日曜日の朝にわざわざ特別にお時間を割いてくれたのでした。
なのに、時間が変わっていたことに僕は気付かなかった。
お相手の方は、その他大勢の英国人と同じように、夏時間の10時に合わせて待機してくれていました。その頃僕は、冬時間の10時に向かって活動していました。1時間の時差が出てきますね。しかも時計は1時間先に進むことになっていたので、僕の方が遅い時間を生きていることになります。周回遅れのランナーみたいなもんです。
インタビューが始まるまでまだ時間があるし、新聞でも買ってくっか、とサンダルを履いて最寄駅に出掛けた際に、駅構内に取り付けられた時計を見て初めて気付きました。思わず「あっ」と叫んでしまった。ダッシュで家に戻って、30分遅れで電話取材を何とか始めました。
こんな僕を笑って許してくれたNさん、ありがとう。
それにしても先週、夏時間について自ら熱く語ったばかりなのに。
もうロンドン生活は今年で6年目になるというのに。
一応、週刊新聞の編集部で情報を扱う仕事をしているのに。
お恥ずかしい。
そういえば以前、ロンドン生活ウン十年という女性とお会いしたことがあります。英国ではまだ外国人そのものが珍しかった時代。彼女がロンドンに来たばかりの頃は、道ですれ違う英国人から「お前はオノ・ヨーコの知り合いか」とよく聞かれたと言っていました。
そんな彼女がまだ渡英当初のそれこそ右も左もよく分からなかった時のこと。同じ職場に勤める英国人の同僚がある日突然、彼女の側にやってきたかと思うと「明日、時間が変わるんだ」と言い残してその場を去った。そのセリフを聞いて「私は本当に腰を抜かしそうになったわ」と仰っていたのを思い出しました。まるでノストラダムスの予言を耳元で告げられたかのような衝撃が走ったそうな。
どうせ時間を変えるなら、朝と夜を丸ごと交換してみたい。そうしたら、朝寝坊と夜更かしを思う存分楽しめそうな気がしませんか。時差が縮まって英国から日本にもっと気軽に国際電話かけられるようになるだろうし。しかし、それでも夜寝坊する人が、やっぱりいるんだろうなあ。(籠)
会社にある時計。締め切りまでの残り時間を冷たく僕に告げてくれます。