ロッキーとの闘いの日々は続く……
2006年9月5日 By 編集部員(月)
「働く、食べる、寝る、観る」という地味な生活を送る私に最近起こった事件。……それは引越し。ほとんど寝に帰るだけとはいえ、やはり住環境が変わるというのは大きな変化です。昨夜、空腹で帰宅した私にスペイン・オムレツをおすそ分けしてくれたから言うわけではありませんが、とってもオープンで素敵なスペイン人親子と快適な毎日を過ごしています。
そんな中、私の穏やかな日常を脅かす存在が。それがロッキー、このフラットに君臨する王様、もとい飼い犬(ヨークシャー・テリア)です。このロッキー、幼い頃に交通事故に遭い、それ以来人間不信に陥ってしまったそうで、会う人会う人に吠えまくります。家族は彼を溺愛しているので、それをとがめることはしません。……やりたい放題です。家を出る時、帰る時はもちろん、自分の部屋を出るたびに吠えられます。朝は誰より早く家を出、夜は誰より遅く帰る私、このままでは家族に嫌われてしまう! ……かくして私のロッキー懐柔作戦が始まったのであります。
まず朝。靴を履いて歩くと足音を聞きつけて「わふ!」とやられてしまうので、専用の靴下を用意、家を出る瞬間までそれを履くことにしました。外に出た後靴下を脱いで靴を履く姿は、はたから見るとはっきり言って間抜けですが、この際、背に腹は変えられません。ひそ、ひそ、ひそ……と靴下で歩けば(そっちの方がよっぽど怪しい人だと思わなくもない)ロッキーも気付かないのですが、フローリングの床なので、たまにぎし、と鳴ってしまいます。そうなるとアウト。すぐに「わふわふ!」です。最近はどのルートを通れば床が鳴らないか、だんだん把握してきました。朝の勝負で私が勝ち名乗りを上げるのももうすぐでしょう。
そして夜、帰宅時。鍵を差し込んだ瞬間から「わふ!」です。これはもうどうしようもありません。できることはただ1つ、速攻で家に入り、しゃがみ込んで目線を低くし、猫撫で声で挨拶することです。もともと淡白な性格の私。動物好きで、これまで犬やら猫やらを飼ってはいましたが、ベタかわいがりというものをしたことがありませんでした。まさかこの歳になって「ろっき~♪ぐっどぼ~い♪♪」なんてやることになろうとは……。これをやると多少静かになるのですが、まだまだ気は許せません。立ち上がると同時に「わふわふわふ!!」となるので、「ろっき~♪ろ~っきぃ~♪」と言いながら這いつくばって部屋まで進みます。……むなしい。でもこれが今までの経験で培ったベストの方法なのです。
部屋から出る時も気は許せません。一歩廊下に出るたび吠えられます。おまけにちょっとでも部屋を出ようものなら、すぐに侵入してくるのです。これまでに3度、食べている最中の夕食がやられました。1度なんか「ごへごへごへ!」とこの世のものとは思えない声でうめいているロッキーを発見し、何かと思ったら私のフライド・チキン(大)をのどにひっかけていました。「う、このままでは追い出される!」と思った私、ひたすらロッキーの背中をさすりながら家族に謝ったものです。「私の夕飯……」と心の中でつぶやきながら。
そんなこんなで私とロッキーの闘いは今もなお続いています。ロッキーと対峙している時、私の頭の中には常に「ちゃら~ら~」という映画「ロッキー」のテーマが駆け巡り、緊張感がみなぎります。地味な私の日常生活に彩りを添えてくれる存在、それがロッキーなのです。(月)