言うことをきちんと聞く人
2007年10月16日 By 編集部員(籠)
先週、僕の高校2年生の時の同級生から同窓会開催のお知らせがメールでやってきました。
かつては、こういった同窓会や友人の結婚式のお知らせを見た瞬間、スケジュール帳を確認する間もなく「うわあ無理」という感覚を走らせては、英国と日本の間にある地理的距離を感じていました。でも最近ではあまり招待状も来なくなり、「こんな集まりがあったよ」という事後報告が多くなりましたね。まともな返事もろくに出していないので、そのうちこの事後報告さえなくなるのかもしれません。
今回の同窓会に関しては、そもそも、なんで卒業年次でなくて2年生の時のクラスで同窓会をやるのでしょう。在学中は皆あんなに「うちのメンバー寒いよー」とか「サッカー部が固まり過ぎだ」とか「女子の面子がいまいちだ」とか好き勝手言っていたくせに。
でも、1つ思い出したことがあります。そういえば、僕が海外に住みたいと思い出したのが、ちょうどこの高校2年生の終わりぐらいだったんです。
空席が目立たないよう、いつものように教室にある自分の机を廊下の一角に隠してから授業をサボったある日のこと。そんな人を小馬鹿にしたような細工で欠席がばれないわけはないと思うのですが、ともかくその日は最寄りの区立図書館に遊びに行きました。
その時に見つけたのが、栄陽子という米国への留学相談を生業としている人が書いた本。内容についてはかなりうろ覚えなのですが、確か栄さんはその本の中で、「リベラル・アーツ」なる、西欧のエリートが学ぶ一般教養の授業の素晴らしさみたいなものを紹介していました。
学校生活にありとあらゆる不満を抱えていた当時の僕は「このリベラル・アーツこそ僕の求めていたものだ。栄陽子と一緒に米国で学ぼう」って即座に思いついたんです。今思うと、恥ずかしくて寒気がするほど、浅はかな考えでした。
でもまだ17、8歳だった少年の鼻息の荒さは、ちょっとやそっとじゃ収まりそうにない。早速、職員室に行って担任の先生に「僕はこれから米国に行ってリベラル・アーツやるんです」って伝えたら「今、日本の高校での勉強もちゃんとできていないのに、留学だなんて無理だわよ」みたいなことを言われました。そして「まずはしっかり日本の大学を卒業してから考えなさい」と説得されて、少年の鼻息は意外にもあっけなく止まったのです。
ということで、日本にある大学の英米文科に進学。「英語ができるようになりたければ、まずは英字新聞を読めるようになりなさい」という指導教授のアドバイスに従い毎日欠かさず読んでいるうちに、ジャーナリズムに興味を持つようになりました。
いよいよ日本の大学を卒業し、いざジャーナリズムを学びにウォーターゲート事件の国、米国へ出発、と思ったら母から「アメリカなんていったらあなたなんか銃で撃ち殺されてしまうわよ」と忠告されて、パパラッチの国、英国に来ることになりました。
そういうわけで今に至っているわけなのですが、結局のところ何が言いたかったかと言うと、僕は学校の先生とか教授とか、母の言うことをいつもきちんと聞いてきた、ということです。
来週の編集日記をお楽しみに。(籠)
今回は適当な写真がなかったので、夜空に打ち上がった花火の画像をどうぞ。花火の祭典、ガイ・フォークスのイベントまであと数週間です。