第13回 大学生のための日本語スピーチ・コンテストが開催
2月24日、キングス・カレッジ・ロンドンのストランド・キャンパスにおいて、大学生のための日本語スピーチ・コンテスト(英国日本語教育学会、国際交流基金主催)の決勝大会が開催された。
日本語を母語としない英国内の大学に在籍する大学生が、日本語でスピーチやプレゼンテーションを行い、その内容を競い合う本大会。スピーチ、個人プレゼンテーション、グループ・プレゼンテーションの3部門からなり、日本に関連するものから、母国や英国にまつわるものまで多様なテーマでの発表が行われた。
スピーチ部門では、「人が輝く森林未来都市しもかわ: 小さな日本の町が世界に与える影響」という題でスピーチを行ったエジンバラ大学のへスター・マレンさんが栄えある優勝を手にした。マレンさんは、昨年インターンとして訪れた北海道の下川町についてスピーチ。下川町は、森林と共生する未来都市を作ろうという日本政府の取り組みの一環で、「環境未来都市」に選定された11都市のうちの1つであると説明。林業の盛んな下川町では、自然とともに生活し、森林を積極的に活用することで、自然の大切さを改めて認識するというコンセプトで環境問題に取り組んでいると紹介した。そして、この活動が結果的に地域活性化にも繋がったと、環境問題解決の成功事例として取り上げた。
2位に輝いたロンドン大学SOASのイー・チン・チョウさんは、「日本における若い女性のネガティブなボディ・イメージとメディアの影響」と題し、メディアが痩せているモデルを使い、痩せていることは美しく、幸福な人生のために不可欠な要素だと誤った情報を発信していると主張。それが女性のダイエットへの執着を助長していると指摘した。また、日本を始めとする東アジア諸国の女性は自分の体に対してネガティブなイメージを持っており、その理由として、メディアからの刷り込みという外的要因、自己肯定感が低いという内的要因の2つがあると述べた。メディアに左右されず自分に自信を持つこと、真の美は外見ではなく、ありのままの容姿を受け入れることだと訴えた。
3位に入賞したイースト・アングリア大学のイン・クワン・ラオさんは、「若者から中高年へ ニート問題の深刻化と家庭教育の重要性」と題したスピーチの中で、ニートの要因は就職難や長時間労働などの社会問題による影響のほか、家庭教育が主な原因だと指摘。子供に対する親の接し方についての改善点を述べた。
初級修了レベルの日本語能力保持者を対象とした個人プレゼンテーション部門では、英国における多文化社会と人種的寛容性について持論を展開した、ロンドン大学SOASで日本語と経済学を学ぶエリス・ウォレンさんが優勝。自国シンガポールの魅力について紹介したインペリアル・カレッジ・ロンドンのセバスチャン・リムさんが2位に入賞した。