イギリス版極楽浄土? のElyへ日帰り旅行に行ってきた

先日、1583号の特集「大聖堂の街、Elyの歴史を知る」で取り上げましたイーリー(Ely)に取材に行ってきました。

今回この街を取り上げたのは、別の調べものをしている時に偶然大聖堂の内部写真を目にしたからです。

「厳かな場所なのになんだこのケバケバしい色彩は…?!」

仏教でいう極楽浄土といいますか、緑!楽園!な極彩色を使った攻めの内装だったのです。

かつてロンドンのウェストミンスター寺院を訪れた際、いろいろ派手だなあと思ったのですが、その記憶を塗り替えるような強烈な印象だったので、ロックダウンの規制緩和に伴いケンブリッジからほど近いイーリーに行くことにしました。

ちなみにとイギリス人の友人にこの街の印象を聞いたところ、

「行ったことないけど、なんか長い歴史を持ってるっていうイメージ」

なるほど、そんなもんなのか。どこぞの古都的な感じのようです。

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現在は新型コロナ対策のため、大聖堂を訪れる際は事前にオンラインでチケットを購入する必要があります。

イーリーはとっても小さな町なので、駅からまっすぐ歩けば15分ほどで到着します。大聖堂の手前には公園があって、牛が放牧されています。一応市内の中心部なのになんて牧歌的なんだ~癒やし~。

ミスト状の雨が降ってました。一番困るやつ

写真の向こうに立つ建物がイーリー大聖堂です。

さらに近づいてみると

でっけー!

ずっと引きこもり生活だったので、久しぶりに高いものを見ました。

内部はこんな感じです。

神々しい

目玉のオクタゴン・タワーの天井。肉眼では綺麗に緑だったんですけどねえ、ごめんなさい。やっつけ写真になってしまった

ネイヴと呼ばれる身廊

大聖堂併設のレディ・チャペル

レディ・チャペルの天井も美しい…

なんか構造が複雑すぎてわかりません。笑

複雑化した経緯を簡単にまとめますと、大聖堂の礎は673年(!)で、それが壊されては立て直され、また壊され…を数世紀に渡り繰り返し、不死鳥ばりに蘇ってきた建物群なんです。

敵の侵入、宗教改革などなどイングランドでは教会の存在そのものが窮地に立たされる時期が多く、運悪く立て直し時期に当たった再建推進長は資金繰りに奔走するわけでして。11世紀にその担当となったシオメン修道院長のときは、準備期間を経て再建工事が始まったのは彼が90歳のとき。ご老体に鞭を打つにもほどがある。

そんなこんなで、再建時に当たったときの最新デザイン&建設技術が盛り込まれた大聖堂群は、いろんな建築様式がミックスされた涙ぐましい建物なのです。

我が国ニッポンが誇る法隆寺の建設が607年ですから、だいたいその年代からめっちゃアップデートされてきた建物だ、という感じが伝われば幸いです。宗教は偉大なり。

肝心の極彩色についてですが、オクタゴン(八角形)・タワーの天井に当たるドームの彩色がそれでした。写真をとったんですけど

とても綺麗でした、と言葉で伝えさせていただきます

遠い&暗い。

地上50メートルの高さにあるため、素人の私ではうまく撮影できませんでした。

驚きなのはこのドームを支えている支柱は太い大木なんだそうで、技術的に相当過激な建築らしい。エキセントリックな建築家がいてこのオクタゴンは成り立っているんですね。ボランティアさんの解説によると、現在ではこれほどの大木は手に入らないため、再び同じ技術で建てることはできないそうです。そういった技術も含め、写真以上にとにかく美しかったです。合掌。

ボランティアさんはいろんな話をしてくださいましたが、話の流れで自分が日本出身だ、と答えると「ああ~日本行ってみたいのよ~。競馬場にすごく行きたくて」と、バッグにつけていた馬のぬいぐるみのキーホルダーを見せてくれました。愛しいレディだぜ!

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大聖堂には、ステンドグラス博物館が併設されており、こちらもオススメです。

ステンドグラスは通常高いところにはめ込まれているので、よく見えなくないですか?

それを目の前で細部まで見られる貴重な場所です。

こんなかっこいい、現代のステンドグラスもあるんですよ。

Kehinde Wileyがニューヨーク在住の男性を、19世紀に作られた聖アデライデ皇后のステンドグラス風に表現。ステンドグラスは現在も進化中なのであります!

大聖堂とステンドグラス博物館共通チケットで12.50ポンドとなっており、ロンドンから1時間ちょっとで行けるの日帰り旅行にオススメです。美しいモノが好きな方、浄化されたい方、ぜひ遊び行ってみてはいかがでしょうか。

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