第12回大学生のためのスピーチ・コンテストが開催
3月4日、キングス・カレッジ・ロンドンのストランド・キャンパスにおいて、大学生のためのスピーチ・コンテスト(英国日本語教育学会、国際交流基金主催)の決勝大会が開催された。
日本語を母語としない英国及びアイルランドの大学生が、日本語でスピーチやプレゼンテーションを行い、その内容を競い合う本大会。スピーチ、個人プレゼンテーション、グループ・プレゼンテーションの3部門からなり、今年は18大学88人の中から選ばれたファイナリストたちが参加。日本に関連するものから、母国や英国にまつわるものまで多様なテーマでの発表が行われた。
スピーチ部門では、「日本在留外国人の適応問題: 外国人ゲットーから日本人とのコミュニティーへ」という題名でスピーチを行ったロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)のジョルダノ・エピファーニさんが栄えある優勝を手にした。エピファーニさんは、数年前に日本を訪れた際には、単一民族の国であるという印象を抱いたが、近年では日本でも国際化が進んでいると実感。しかしながら、日本の国際化が必ずしも外国人の適応を促しているわけではなく、在日外国人の中には日本語や日本的な配慮を必要としない「ゲットー」に引きこもってしまうこともあると指摘し、日本が真の国際化を目指すためには、日本人と外国人双方の努力によって状況を打破する必要があると訴えた。
2位に輝いたSOASのロビン・レイさんは、「高齢社会を好機に」と題し、高齢化が避けらない事実であるとするならば、否定的な部分ばかりに目を向けるのではなく、これを好機と捉え、高齢者と若者が互いに学び合う気持ちを持つことが大切であると主張。自身が日本留学時に参加したデイ・サービス(通所介護)でのボランティア体験談を交えつつ、戦争、バブル期を経て現在に至る過程を生き抜いてきた経験豊富な高齢者と、これから未来を生きていく若者との世代間交流の意義を訴えた。
3位に入賞したオックスフォード大学のドミニク・オーベンさんは、「現代日本における美学の重要性と日本人のアイデンティティーとの関係」と題したスピーチの中で、「哀れ」「不完全さ」「質素」「無情」などの言葉から見て取れる日本人の心の中にある美学と、現代の日本人の習慣との関連性について持論を展開した。
初級修了レベルの日本語能力保持者を対象とした個人プレゼンテーション部門では、古代から現代英語への変化の過程を解説したインペリアル・カレッジ・ロンドンのトー・ウェイルンさんが優勝。ブルガリアの伝統衣装を身にまとい、自国ブルガリアの美しさを紹介した同じくインペリアル・カレッジ・ロンドンのポレーナ・リリャノバさんが2位に入賞した。
グループ・プレゼンテーション部門では、全4グループが各々のテーマに沿って、話し口調やロール・プレイなどの工夫を凝らした発表を行い、観客を沸かせた。