目から鱗の「ビジネス日本語スピーチ・コンテスト」に行ってきた
2016年02月25日 by(梦)
皆様こんにちは。英国ニュースダイジェストの(梦)です。先日、ロンドンで開催された「ビジネス日本語スピーチ・コンテスト」を拝聴してきたので、ご報告申し上げます。
ビジネスと聞いて、なんだか堅苦しいなぁ~と思ったそこのあなた、当日は、わたしも同じ気持ちでした。きっと難しい話ばかりだろうよ、理解できるかしら、と不安を抱え、会場に足を運んだのです。ところがどっこい、すべてのスピーチを聞き終えた感想は、とっても面白かった! です(ありきたりですみません)。でも、本当に面白かった。クスッ、だけじゃなくてケタケタ笑ってしまった場面もありました。なので、肩肘張らずお読みいただければと思います。
このコンテストでは、予選を勝ち抜いた8名の強者たちがビジネスについて、日本語でスピーチを行います。優勝者には、日本への往復航空券が贈られるなど、賞品も大変豪華。毎スピーチのあとには、2人の審査員による質疑応答が行われ、とっさの対応力も試されていました。
コンテストに出場された8名の方々のスピーチは、甲乙つけがたいほど、どれも多岐に富んだ興味深い内容ばかり。中でも目を見張ったのが、皆さんがとても美しい表現を使用される点。「~の問題は、一石二鳥に解決することはできませんが~」なんて表現がすらすらとでてくるのです。加えて、なによりユーモアのセンスの秀逸さ。日本人と欧米人のユーモアのセンスって、まったく違うわけではないと思いますが、かといってまったく同じではないはず。でも、皆さんつかみから面白おかしく話を上手に進めるものだから、こっちはもう、あれよあれよと引き込まれてしまうわけです。ビックリ仰天です。
私の推しメンは、マシュー・ブラウンさん。彼は、「Lesson from Takaoka City : facing challenges with innovation(高岡市から学ぼう、イノベーションで課題を乗り越える日本企業)」という題名でスピーチを行い、見事、2位受賞を果たしました。
ガンダム、すず、日本酒、この3つに共通していることはなんでしょうか?
という問いから始まった彼のスピーチ。
むむむ?
耳慣れしない3ワードの羅列に頭をひねっていると、徐々に全貌が明らかに。
富山県高岡市の市役所にて3年間、国際交流員として働いていたマシューさん。高岡市では、伝統工芸であった贈答品の売り上げが伸び悩んでいた頃、複数の製作所が高岡市のもつ技術とデザイン性を生かし、伝統工芸のイノベーションを打ち出したそう。
能作という制作所では、すずのコップで飲むとお酒がおいしくなるという特徴に注目し、玩具会社バンダイとコラボ。ガンダムの形をしたぐい飲みを発案しました(先に紹介した問題の回答がここに! )。また他の製作所でも、すずがみという、すずを薄く伸ばして作り、手で自由に形を変えることができるお皿を製作。本商品は、東急ハンズで取扱いがされているそうです。
伝統工芸のイノベーションにより新たな一歩を踏み出すことのできた高岡市。
その後マシューさんは、日本の直面している超高齢化社会に触れ、これは、日本が先駆者となって高齢者に相応しいビジネス・モデルを、世界に向けて示すことができるチャンスではないでしょうか、と。スピーチは、「伝統は守るばかりではなく、作っていかなくてはなりません。あと100年経てば、今やっていることが伝統になるのです」という能作の社長さんの言葉で締めくくられました。
授賞式後のマシューさんに、今回の受賞を高岡市の方々に伝えますか、とお聞きしたところ、「実は、ちょうど高岡市の皆さんから連絡をもらっていて」と。詳しくお聞きしたところ、高岡市には路面電車が走っていて、なんでも渡英前にマシューさん、その路面電車の英語版車内アナウンスを録音してきたのだそう。今回は、そのアナウンスが今週から流されますよ、というお知らせメールをいただいたのだとか。受賞報告と重ねて返事を書きます、と高岡市の人々との交流の深さがうかがえるエピソードをお話しいただきました。(梦)