ちょっと風変わりな映画フェスティバルの話

2016年02月02日 by (遊)

こんにちは。英国ニュースダイジェストの(遊)です。1月の29日から3日間行われたブリックレーン・ジャパン・フィルム・フェスティバル(以下、BJFF)に行ってきたのでご報告させていただきます。日本映画をロンドンで上映するなんて最近では珍しくないわね、とおっしゃる方も多いかもしれません。確かに「世界のクロサワ」と呼ばれる黒澤明監督作品、スタジオ・ジブリのアニメーション映画などは頻繁にロンドンで上映され毎度大盛況です。ではこのイベント、一体、何が面白いかというと、日本人の大学生グループ主催で開催されたのです。

「まだ日本映画を観たことがない人にも、とにかく1人でも多くの人に観てほしい」そう語る林健太郎さんはこの映画祭の主催者であり、映画の世界に魅せられてしまった、ロンドンの大学に通う留学生。彼を筆頭に立ち上がった学生たちのイベントが、フェイス・ブックで1万3000人から注目されるなど誰も予想していませんでした。「最初は地道に会場周辺の店や大きなイベントなどに足を運び、フライヤーを置かせてもらい宣伝していました。そこで知り合った人たちがイベント内容をSNSでシェアしてくれて……その規模がどんどん膨れ上がって。途中から、チケットの予約が最短3分で埋まってしまうほどの人気になりました」。

Brick Lane Japan Film Festival

手作りとは思えない、おしゃれなオリジナル・グッズ

映画を映画館で観る良さに、音響や大きなスクリーンなどが挙げられますが、個人的には観客の一体感も大切な要素だと思います。この点に関して、特にBJFFは素晴らしかった。学生スタッフたちに「エンジョイ! 」と言われて中に入ると、観客たちは敷き詰められたエアベッドの上で無料配布の日本酒片手にくつろいでいます。大規模なイベントになりながらも、手書きのチケット案内や手作りの寄せ書きコーナーが微笑ましくてほっこりと温かい気持ちに。そんな肩ひじ張らない空間で皆が身を寄せ合いながら同じシーンで笑い、息をのみ、心を動かす。映画鑑賞におけるシンプルな喜びというものを今一度教えてもらったような気がします。そして上映後に他の観客たちの満足そうな顔を見て「日本の映画、面白かったでしょう? ふふん」となぜか私まで誇らしい気持ちになりました。

Brick Lane Japan Film Festival

映画の世界に引き込まれる観客たち

Brick Lane Japan Film Festival

出口付近の寄せ書きコーナーで、来場者が感想を書いている様子

特に人気が目立ったのは「告白」と「下妻物語」。毛色の全く違った2つの作品はどちらも好評で、早朝に追加上映が行われるほど。北野武監督・主演作品「HANA-BI」は今回の上映作品の中で1998年作と最も古いものではありましたが、監督の描く独特な世界観が会場全体を飲み込んでいました。他にも個性派ぞろいな計7作品、ロンドンの地で様々な年齢や国籍の人に受け入れてもらうことを意識して選んだそうです。

Brick Lane Japan Film Festival

寒い中でも明るい笑顔で迎えてくれる学生スタッフたち

日本へ旅行に行ってから特に日本文化に興味を持つようになったというアンジューさんとマイケルさん。普段はイングランド北部に住んでいるため、このイベントのために前日の夜、電車に乗ってロンドンまで来たのだとか。

Brick Lane Japan Film Festival

グッズ・コーナーで日本映画のDVDを選ぶ2人

寄せ書きコーナーで丁寧にカタカナの名前を書いていた3人組をキャッチ。シビラさんは日本語を勉強中で、春から日本に住む準備をすすめている大学生。タリアさんは中国出身で元々日本のアニメやドラマを観て育ったこともあり、映画にも興味を持っていると教えてくれました。無料配布の日本酒に釣られて2人についてきたと照れ笑いをしながら話してくれたオアナさん。想像以上に「下妻物語」が面白かったらしく、「今までで一番笑った映画だったわ」。

Brick Lane Japan Film Festival

日本らしくピース・サインをしてくれた仲良しの3人

確かな成果を得て、次回開催も前向きに進行中。次はどんな風に楽しませてもらえるのか、今から楽しみです。

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