ロンドンで萩尾望都先生のトークイベント開催

大英博物館の「マンガ展」に合わせ訪英中の萩尾望都先生のトークイベントがあると聞き、駆けつけてきました。まさかロンドンで萩尾先生のお話が聞けるなんて、ひと昔前には考えられないことでした。幸運にも、5月20日のジャパン・ハウス、そして5月23日の日本大使館で行われたトークに行くことができたので、ご報告します。

マンガ展でも大きくフィーチャーされている萩尾先生。少女漫画のパイオニアであり神様のような存在で、代表作には「トーマの心臓」「ポーの一族」「11人いる!」などがあります。華やかで動きのある美しい絵、どれも設定がおもしろく魅力的なキャラクターたちが展開するストーリーに、あっという間に引き込まれていきます。

トークでは、萩尾先生と共に「月刊フラワーズ」で担当編集者である古川さんも登壇されました。また日本大使館でのトークは、マンガ展のキュレーターであるニコル・ルマニエールさんが司会進行を務められ、どちらもとても楽しく興味深いお話を伺うことができました。

萩尾望都先生のトーク

ジャパン・ハウスでのトーク:月刊フラワーズの表紙と「ポーの一族」のイラストをバックにお話される萩尾望都先生(左から:通訳の方、古川さん、萩尾先生、司会進行の方)

萩尾先生のお話をちょっと紹介します。

「昔は男性漫画家が少女漫画を描いていた」
「昔の少女漫画といえば、生き別れたお母さんを探しにいく悲しいストーリーが多かった」
「ポーの一族は丘の上に立つ、ひとりの寂しそうな少年のイメージからスタートした」
「漫画家になったことを真面目な両親はずっと反対、しかしNHKの朝ドラ『ゲゲゲの女房』で水木しげるさんが一生懸命に仕事をしている姿を見て、やっと認めてもらえました」
「宝塚で舞台化された『ポーの一族』が大好きで何度も観劇に行きました。(チェックするために)事前に渡されたスクリプトは、自分の目で見て驚きたかったので読みませんでした」
「昔からイギリスの小説などが好きでした。例えばシャーロック・ホームズには、インバネス・コート、オペラ・シューズなど、わたしの周りにはないものがたくさん出てきて、とても憧れました」

などなど、ときにはユーモアたっぷりに語られ、会場が笑いに包まれ終始なごやかな雰囲気でした。

萩尾望都先生のトーク

ジャパン・ハウスでのトーク:「ポーの一族」から登場人物のひとり、アランの心の動きを表すと説明される萩尾望都先生

少女漫画の未来について聞かれたとき古川さんが、萩尾先生がおっしゃったこととしてお話された言葉がとても印象に残りました。

「男性がいくつになっても少年の心を持っていると言われるように、女性もいくつになっても少女の心を持っている。その少女たちがわくわく楽しみに待っている作品を作って行きたい」

まさにマンガは、いくつになってもわくわくさせてくれる存在です。それを見事に形にした大英博物館のマンガ展、ぜひ多くの方に楽しんでいただきたいと思います。

*「ポーの一族(The Poe Clan)」の英訳が7月に発売されるそうです。

大英博物館で開催中の The Citi exhibition Manga マンガ展 は8月26日(月)まで

特集: 大英博物館「マンガ展」The Citi exhibition Manga
http://www.news-digest.co.uk/news/features/18866-the-british-museum-manga-exhibition.html

特集: 大英博物館「マンガ展」キュレーター、ニコル・クーリッジ・ルマニエールさんに聞く
http://www.news-digest.co.uk/news/features/18867-the-british-museum-manga-exhibition-curator-nicole-coolidge-rousmaniere.html

 

前の記事:
次の記事: