テムズ河が汚い理由がよく分かった その2
by 編集部員(籠)
ロンドン東部はベクトン下水処理場の見学ツアーに参加した話の続きです。
見学ツアーは正味2時間。広大な敷地内をバスで移動しながら、汚泥を除去したり、微生物による下水処理を施したりする箇所でそれぞれ担当者の説明を聞く、という内容です。
敷地内には貯水槽やタンクがたくさんあって、あとロンドンではあまり見かけない電信柱がいっぱい立っていました。駐車場やバス停なんかもあった(たぶん関係者用だとは思うのだけれど)。
下水処理場のスタッフの話では、一日の中で、下水がたくさん流れてくるときとそうでないときのある程度決まったタイミングがあるそうで。下水量の増減から「今ごろ多くの人は通勤電車に乗っているんだな」とか「こりゃ、サッカー中継のハーフタイムで一辺に大勢の人がトイレに駆け込んでいるんだな」とか想像できちゃうんだそうです。
ええと、下水場の臭いですか? 敷地内の場所にもよるのだけど、風が吹くとブアっと鼻にきて軽く「オエッ」となったことは何回かありました。でも僕が「オエッ」とした場所のすぐ横では水鳥が優雅に泳いでいたりなんかして。
で、最後に行ったのが、下水トンネルの工事現場。テムズ河への下水の垂れ流しを少しでも減らすため、このベクトン下水処理場とロンドン東部のアビー・ミルズというところにある下水の大型ポンプ場をつなぐトンネルを現在建設中だそうです(2015年に完成予定)。でもキャパとしてはそれでも全然足りないから、このトンネルをさらに拡張してテムズ河のほぼ全域をカバーするような新しい下水道を建設する計画が同時に検討されている最中なんだとか。ロンドンの下水道業界では今、この話題が熱いらしい。
もしこの計画が実施されるとなれば、下水垂れ流し状態のテムズ河がきれいになる日がやって来るのかも。この計画の行方を見守りたいと思います。(籠)
リンク:
特集:オープン・ハウス・ロンドン2013 (5 September 2013 vol.1394)
特集:建築家ウィル・オルソップ氏インタビュー(4 January 2013 vol.1378)
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