ロンドン・マラソンに出場することになった その4
by 編集部員(籠)
ロンドン・マラソン体験談の続きです。テロが発生したボストン・マラソンの参加者に向けて30秒の黙とうをした後、いよいよスタートしました。
ドイツ・ニュースダイジェストの(高)さんの話では、ベルリン・マラソンではスタート直後あんまり前に進めなかったのことですが、ロンドン・マラソンの動き出しはかなりスムーズ。初っ端から普段のジョグと同じようなペースで進むことができました。
走り始めていくつか気付いたこと。
①皆さんマナーが大変よろしい
結構な人混みなので給水所で水を受け取るのは難しいかなと様子を窺っていたのですが、コースの端で水を受け取った人が、一口含んだ後に隣のランナーに順繰りに水を回してくれるんです。バケツ・リレーみたいな感じで。あと道路にいわゆる「ロード・ハンプ」と呼ばれる、市街地で車を減速させるためのコブみたいなやつがあると、団子状態で視界が悪くなっている後列のランナーのために、前方の人が腕を上げて「Hump!」と叫んでくれるんです。僕も走るのと一緒にこういうマナーを学ばなきゃいけない。
②なのに立ちショ〇ンはしちゃうみたい
数時間も走っていてしかも細目に給水するもんだから、尿意を催す人がたくさんいるみたいで。一応、コースにはポイントごとに公衆トイレが用意してあるのですが、尿意はいつだって緊急事態。道路でしちゃっている人が結構いました(そう言えば主催者から事前に配布された注意書きには「他人の家の前でのおトイレはお控えください」みたいなことが書かれていました)。ちなみに芝生でお座りしている女性ランナーも相当な数いました。
③レースというよりはお祭りみたい
コースの周囲では常に何か起こっていて、見ているだけで本当に楽しい。沿道にいる応援や見物に来たロンドン市民の皆さんは僕のような見ず知らずの外国人ランナーにも分け隔てなく手を差し出してくれるので、絶えずハイタッチ状態。チア・ガールやブラス・バンドに加えて、沿道にはホースから水をぶっ放してくれる消防隊員がいたり、聖書片手に「神は走るあなたを見守っている」的な説教をする神父さんがいたり。ほかに以下のようなプラカードを掲げている人を目にしました。
「Run! Bitc〇 Run!(走れ、雌豚走れ!)」……闘争心を引き出そうという狙いなんでしょうか。
「Legs Tired? Hire a Cab! Call 020……(足が疲れているかい? タクシーをご利用ください。番号は……)」……この看板見て電話かけた人って実際いるのかな。
「Sam! Your home is this way←but you run this way→(サム! あなたの家はこっち。でもあっちに向かって走るのよ)」……レースのコース近くにサムさんのお家があるんでしょうね。でもゴールするまで帰れない。
「Pain Now! Beer Later!(つらいのは今だけ! ビールが待ってるぞ!)」……すごく即物的な激励の仕方ですね
レース前半はいわゆる住宅街の真ん中を通っていくので沿道にいる人の数もまばらなのと、こちらも身体と心がまだまだ元気なので、見物客の一人ひとりの様子がはっきりと分かるんです。途中で膝の古傷が痛み出したり、頻繁に給水してゼリーや沿道の人がくれたオレンジ(しかも食べやすいように切っといてくれてた)を走りながら食べたせいかゲップに苦しめられたものの、わりと順調なペースで中間地点のタワー・ブリッジを通過することができました。(続く)