母とのスペイン旅行記 -後編-

By 編集部員(籠)

グラシアス、ブエナス・ノーチェス、テ・キエロ・ムーチョ。ぐずついた天気ばかりの英国になんかに戻ってくるんじゃなかったと近頃つくづく感じている(籠)です。前回に引き続き、1週間強にわたる母とのスペイン旅行の模様をお伝え致します。

マドリードに上陸

バルセロナから電車に3時間ほど揺られて着いたマドリードでは、プラド美術館やソフィア王妃芸術センターといった美術館めぐりを堪能。そして、夜は市内中心のマヨール広場近くへ。お酒が大好きな母のために、「地球の歩き方」でお勧めされている「メソン・デル・チャンピニョン」という名の居酒屋へと繰り出しました。

ピアノマン

我々が通されたのは、ピアノマンの目の前にある席でした

着席した途端、目の前の電子ピアノからなんだか聴き覚えのあるメロディーが……。よく耳を傾けてみると、昭和の名曲、「別れても好きな人」を奏でていることが分かりました。調子に乗って「別れても~♪ 好きな人~♪」と歌いだす我が母。盛り上がってしまった以上、しょうがないので演奏が終わってからチップをピアノマンに渡す僕。するとこのピアノマン、続けざまに、千昌夫の「北国の春」を弾き出したんです。さすが観光地の中心で働くプロ、中年世代の日本人の好みをよく把握している……。「北国の春」で2曲目の斉唱を無事に終えた母は、ピアノマンが後奏を終えた瞬間、「ブラボー!」と叫んでいました。周囲に座っていたお客さんたちの顔が、とても冷めていたのが印象に残りました。

60歳目前のお姫様

日本人観光客の扱いに手馴れたピアノマンが棲息するマドリードを後にすると、今度は街全体が世界遺産になっているという古都トレドへ。しかもここではかなり奮発して、高級パラドールに宿泊したんですよ。

バスルーム

ベランダから見下ろす市内の眺めも圧巻なのですが、何よりもバスルームの豪華さに圧倒されました

この宮殿みたいな作りのバスタブに偉く感動した母は、60代を目前としているにも関わらず、「まるでお姫様気分だよ」とはしゃぎながら、一晩で2回も風呂に入っておりました。

その後はスペイン南部へと移動。グラナダでアルハンブラ宮殿を見学し、マラガで海をぼんやり眺めるなどした後、再び航路でロンドンに無事到着しました。そして、またいつもの仕事に復帰しています。

59歳のお姫様と旅したスペインにまつわる物語は以上です。今回もご高覧いただき誠にありがとうございました。(籠)

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