ハートフィールドに行けた
2009年02月17日 By 編集部員(籠)
かつて、イングランド南部ハートフィールドを訪れようとしてバスに乗ったら、ルイスという全く違う街に辿り付いてしまった男 がいました。
青春期に、ようやくお出掛けに誘い出すことができた異性から「男のくせに地図すら読めないなんて」との台詞と共にフラれた辛い経験を持つその男は、自分の方向音痴ぶりを恨む一方で、以来、いつかハートフィールドを訪れたいという思いを募らせ続けていたのです。
2月中旬になり、英国にも春が近付くと、男は再びハートフィールドへの旅を敢行することにしました。そして、前回に懲りて入念な下調べを行ったせいか、今度は無事にハートフィールドへと到着することができたのです。公共の交通機関といえば、1時間に数本のバスしか通っていない、古き良き英国の小さな田舎町の面影を残す現地の風景を前にして、男は自分の夢がようやく叶ったことを実感したのでした。
男はそこで、近くに英国人作家A.A.ミルンが書いた童話「クマのプーさん」の舞台となった「プー・カントリー」という、成人した男子が口に出すには少々の勇気を要する名前の場所が近くにあることを地元の人から聞き出します。そしてその「プー・カントリー」の中に、あのクマのプーさんが木の枝を川に落として遊んだ場所、「プーの橋」なるものが観光名所となっていることも。確かに辺りを見回すと、「プーの橋」にまつわる看板や掲示板をちらほら見かけるではありませんか。
男は、この橋を訪れることにしました。ところが、プー・カントリーって、そんなメルヘンな名前とは裏腹に、なかなかハードな道ばかりなのです。
こんな柵を越えなくちゃいけなかったり……
水たまりをよけたり……
お陰で男はすっかり疲れてしまいました。
プーの橋までは徒歩30分くらいで着くと聞いていたのに、男はその時点で既に約1時間が経過していることに気付きました。どうせまた迷ってしまったのでしょう。自分の方向音痴ぶりにほとほとあきれかえっていると、見えてきたのがプーの橋。
街が一体となって騒いでいる割には大したことのない橋だと言ったら、子供たちの夢を奪うことになるのでしょうか
期待外れな橋(あ、言っちゃった)を前にして感動する機会を逸してしまった男は、他にすることもなく、しょうがないので物語の中のプーさんと同じポーズをして、お茶を濁したのでした。
著作権の問題で使えないようなので、オリジナルのポーズを見るには、こちらのリンクからご確認ください。
おしまい。(籠)