ホームオフィスへの恋文
2009年01月27日 By 編集部員(籠)
拝啓
ホームオフィス職員の皆様
初めてお便り差し上げます。昨年暮れにシチズン・テストに合格し、年明けすぐに永住権を申請したばかりの(籠)と申します。この度は、ホームオフィスの職員の皆様に大変お世話になりました。感謝申し上げます。
今回の申請に当たって、皆様のきめ細かなサービスを目の当たりにしました。例えば、永住権の申請には、郵送だと750ポンド、訪問だと950ポンドの費用がかかるのですね。当事者になって改めて実感したのですが、どちらにしても、気軽に出せる金額ではありません。申請者に今後の英国滞在に向けての覚悟を促すことを意図したのであろう、見事な価格設定にほとほと感心致しました。
皆様が提供する上質なサービスの内容に驚いたのは、今回が初めてではありません。実は1年程前にも、私の不注意で紛失し、日本領事館で再発行してもらったパスポートに改めてビザのスタンプを捺印してもらったことがあります。そのとき皆様は、私のパスポートを半年以上にわたって厳重に保管してくれました。「スタンプを押す」という単純な作業にも、これだけ手間暇をかけてくれるのかと、感動したのを覚えています。
ただ今回だけは、2月に海外出張も控えていたので、即日発行してくれるという訪問での申請を選択しました。ところが、訪問のアポを取ろうとしても、電話が全くつながらないのです。そのとき、私はすべてを了解しました。きっと皆様が、私からの電話を取る余裕がないくらい、あらゆる問い合わせに丁寧にそして真摯に応じてらっしゃることを……。
1週間ぐらいしてようやく電話がつながると、「予約がいっぱいなので、あなたのビザが切れるまでに面接は実施できません。郵送で申し込んでください」と、非常に端的で的確な指示を頂戴しました。「パスポート返却までまた半年ぐらいかかるでしょう。しかもこちらは、1週間前からずっと電話をかけ続けているんです」と私がぐずると、「あなたと口論している時間はない」と一喝してくれました。それまで甘えてばかりだった私の将来を案じた皆様が、心を鬼にして叱りつけてくれたことに、今では感謝しています。
実は後日、知人からこのような案件を即日処理してくれるという弁護士を紹介してもらいました。「そんなばかな」と思い、その弁護士に直接尋ねたところ、弁護士登録された人たちからの問い合わせを専門とした、優先的な時間枠というものが存在するのですね。そういう仕組みを作ることで弁護士の業務の効率化を図り、さらにはこの業界全体を守り抜いていこうとする皆様の大志の一端に触れたような気がしました。
私は結局、大枚をはたいて弁護士に御願いすることにしました。これまで使ったパスポート、給料明細、シチズン・テストの合格証明書などを弁護士に預けたら本当に即日で処理してくれたのですが、手元に戻ってきたパスポートを見て驚愕してしまいました。ホームオフィスの皆様が、期限切れの古いパスポートの方に永住権のスタンプを押していたからです。皆様がこんな遊び心を持っていたことを意外に思うと同時に、何だか人間味を感じてしまって、ホームオフィスに対してこれ以上ない愛着を感じるようになりました。
普段の激務に加えて、甘えてばかりの私を叱りとばしてくれたかと思うと、お茶目な一面もふと見せる。そんなホームオフィス職員の皆様が、私は大好きです。末筆になりますが、皆様のご多幸と健康をお祈りしております。