ダウンロード・フェスティバルに行ってVAMPSとcoldrainを観てきた
by 編集部(籠)
皆様こんにちは。英国ニュースダイジェスト編集部の(籠)です。6月13日から15日にかけてイングランド中部レスターシャーで開催された音楽フェスであるダウンロード・フェスティバルに行ってきたので報告申し上げます。
イギリスではこの季節は野外フェス真っ盛り。多くの場合、王立公園や農場、飛行場跡といっただだっ広いスペースの中に特設ステージが何個も置かれていて、あちらこちらで一流ミュージシャンの演奏が同時進行で行われるという、まさに音楽パラダイスです。ダウンロード・フェスティバルは、ハード・ロックやヘヴィメタ系の音楽に特化していて、今年は泣く子も黙るリンキン・パークやエアロスミスなどが出演しました。
開催地は、イースト・ミッドランズ空港に隣接したサーキット場近辺の敷地です。ロンドンから電車で1時間半で到着する最寄駅に降りたら、周辺に見えるのは火力発電所と原っぱだけみたいな場所。正直言ってちょっと不便な場所なのですが、タクシーの運ちゃんは「今は稼ぎどきだよ」とホクホク顔でした。このフェスはきっと町興し的な役割も担っているんでしょうね。
会場に着くと、全体的に来場客の年齢層が思っていたよりもやや高そうだなと感じました。まあ一日券が82.50ポンド(約1万4000円)。それにプラスして電車・タクシー代やら宿泊費やらって結構かさむので、少年少女たちが来るのはなかなか難しいのかもしれない。
ハード・ロック / へヴィメタの祭典というだけあって、来場客の中には、黒い下地にエクソシスト的なイラストが描かれたTシャツだったり、モヒカンまたはスキンヘッドとアゴ髭みたいなごっつい男の人多数。あと演奏を終えると「サンキュー」の代わりに「〇ァック・ユー」って言うアーティストがいたりで最初は多少ビビっていたのですが、実は皆さん、友好的な方々ばかりなんです。さっきまで赤の他人同士だったのが、音楽が始まった途端に、肩車し合ったり、ダイブする人を支え合ったり、身体をぶつけ合ったり(「モッシュ」って言うみたい。鼻血垂れ流しながらやっている人がいた)。
僕が行ったのは6月14日(土)だったのですが、この日は日本人アーティストたちも出演していました。coldrainとVAMPSです(13日にはCrossfaithも参加)。ここでちょっと、野外フェスの仕組みについて説明を。
野外フェスに来ている観客というのは、大体お目当てのアーティストがいて、そのお目当てのアーティストの演奏が終わると、「次どこに行こうかな~」とかつぶやきながらゾロゾロと会場内を歩いて、おもしろそうだなと感じたステージに立ち寄るという楽しみ方をするんですね。なので、どのステージも前の方の席にはコアなファンがガッチリと場所をキープしていて、立ち寄り客みたいな人が後方を埋めていくんです。逆にアーティスト側から見れば、会場内にいる観客は必ずしも自分たちのファンではない。なので各アーティストは自分たちの演奏を通じて「よってらっしゃみてらっしゃい」をやるというわけなのですが、日本からはるばるイギリスの野外フェスにやってくるというのは、いわば完全アウェーでの異種格闘技戦みたいなものになるわけです。
そんな場所に日本人アーティストが登場するってすごいことだと思いませんか。
coldrainはこの日、サイン会も開いていました。ボーカルのMasatoが流暢な英語で「約束しよう。いつか僕らはこのフェスのメイン・ステージに上がる!」みたいなことを言って、観客も大きな声援で応えていたのにしびれた。
VAMPSは熱狂的な女性ファンが投げ込んだブラジャーをボーカルのhydeがくわえながら演奏したりして盛り上がっていたのに、突然、フェス側からなんとパフォーマンスが強制的に打ち切られてしまった(たぶん音響設備の電源を切ったのだと思う)。時間が押していたための措置みたいで、イギリスの公演だとそういうことがあるという話をよく聞くんですが、何もVAMPSのときにやんなくても。突然の出来事に当惑した観客たちが状況を理解すると、我を取り戻したかのように「VAMPS!」と叫び始めたのが逆に強い印象を残しました。
イギリスの野外フェスで、道場破りを続ける日本人アーティストたち。彼らの挑戦する姿って、本当のロックだな。
ダウンロード・フェスティバルの様子を写した写真は、英国ニュースダイジェストのフェイスブックにもUPしていますので、宜しければご覧ください。(籠)