スチュワート・リーのスタンダップ・コメディーを観てきた
2016年06月10日 by(籠)
ご無沙汰しております、英国ニュースダイジェスト編集部の(籠)です。皆さんお元気ですか。
僕はこれといって最近特に楽しいことがないので(涙)、景気付けにスタンダップ・コメディーを観に行ってきました。花粉症の症状がひどすぎてお酒が飲めない最近では、スタンダップを観るのが数少ない楽しみの一つなんです。
行ってきたのは、ロンドン中心部にあるソーホー・シアター。ここで、イギリスを代表するコメディアンであるスチュワート・リーがスタンダップをやっています。日本ではあんまり有名な人ではないかもしれないけれど、この人すごいの。イギリス人コメディアンにありがちなオックスフォード大学出身という高学歴に加えて、ネタの独自性がすごい。「滑って転んであっはっは」みたいなお決まりのジョークとは無縁な人で、いつだってかなり実験的なネタを仕掛けてきます。
「不動産エージェントと電話しているコント」をしながら目の前にいる観客の様子をその「エージェント」に伝えるという現実と空想の世界が行き交う不思議な空間を構築したり、何度も何度も同じ発言を嫌になるくらいしつこく繰り返すことでなんだかよく分からないけどおかしくて笑っちゃう雰囲気を作り出したり。と書いてみたけど、実際の様子を見ないとよく分かんないですよね。お笑いを語るのって野暮だ。ユーチューブでStewart Leeとかタイプして動画を観てみてください。
ともかく僕はこのスチュワート・リーのライブに行ったのです。場所はソーホー・シアターの地下、140人収容のスペース。僕は公演開始時間ぎりぎりに会場に到着したのですが、その時点で観客の皆さんはガブガブとビールを飲んでいました。
間もなくしてスチュワート・リーが登場、いきなり小さなハプニング? が発生しました。僕のちょうど目の前の席に座っている観客の一人が、ポケットから携帯電話を取り出して何やらいじっていたんですよね(たぶん携帯の電源を切るなり、サイレント・モードにしようとしたんだと思う)。これを見付けたスチュワート・リー、「その携帯電話今すぐにスイッチ切れ。早くスイッチを切ろよ!」と激怒(しているふり?)。「もうショーに出る度に『携帯電話のスイッチは切ってくれ』って言うのはうんざりなんだ。次に誰か携帯電話をいじっている奴を見付けたら、ただではおかないからな。そいつの携帯電話を踏んづけて、このマイク・スタンドで叩きつけて、ぶっ壊して、粉々にして、トイレに持っていて、俺の○○(ひどすぎて書けない)をぶっかけてやる!」と宣言。のっけから観客は大爆笑でした。
ちなみに今回のショーは「Work in progress(未完成品)」と題されていて、秋の本格的なツアーに向けての準備段階という位置付け。「まだ『未完成品』だからカンペを読みながらやることが俺には許されているんだ」と言いながら、本当にネタ帳をただ読み上げるだけの場面などもあって、まあやりたい放題です。でもこの人、わざとスベッたネタ(本当は超受けているのに)とか、前述したような迷惑な観客の被害に遭うネタとかもよくやるので、どこまで本当に「未完成」なのか、それとも「未完成」と見せることも狙いの一つなのかがよく分からない。
ともかくそんな謎解きみたいな要素も楽しみつつ、本当にお腹がよじれるほど笑いこけて、非常に楽しい一夜を過ごすことができました。笑い過ぎで疲れた。こういうタイプのお笑い芸人は日本ではなかなかいないんじゃないかな。あー面白かった。十分にリフレッシュできたので、今月もお仕事頑張るぞ。それでは皆さんごきげんよう。(籠)