デービッド・ボウイの特別上映会に行ってきた
2016年01月16日 by (梦)
こんにちは。英国ニュースダイジェストの(梦)です。ビクトリア・アンド・アルバート博物館で上映されたドキュメンタリー映画「デービッド・ボウイ・イズ・ハプニング・ナウ」を観賞しましたのでご報告申し上げます。
1月10日、ロック歌手デービッド・ボウイの訃報は、世界中に大きな悲しみをもたらしました。出身地である英国ではやはりとても大きく取り上げられていて、今回の上映も、彼の訃報を受け急遽決まったものです。上映は2日にわたり計5回、無料で行われました。一回につき100名限定でネット発売された前売り券は即完売してしまい、残り175名の枠を狙うため、開演1時間前に会場へ。半ば、いや、ほとんど諦めの境地で向かったのですが、私が挑戦した回は平日午後ということもあって、余裕を持って入場することができました。
しかし、お客さんは開場後もぞくぞくとやって来て、上映開始時には満席に。最終的には通路の階段に腰を下ろして観賞するお客さんもいるほどの盛況ぶりでした。お客さんの年齢層は非常に幅広かったです。さすがデービッド・ボウイ。
ビクトリア・アンド・アルバート博物館では、2013年に「デービッド・ボウイ・イズ」という回顧展を開催していました。映画はその回顧展の様子を撮影したものです。
ここで、映画の中で興味深かった話を一つご紹介させてください。デービッド・ボウイは生前、日本人ファッション・デザイナーの山本寛斎さんと親交があったようで、映像の中には、山本さんがボウイとの交流秘話を語る場面がありました。山本さんは約40年前、引き抜きという歌舞伎の仕掛け衣装を参考にした衣装を発表されていました。引き抜きとは、演者があらかじめ縫い合わされた2種類の衣装を着用して舞台に上がり、糸を引っ張ることで外側の衣装がはがれ、一瞬で衣装が早変わりするという仕掛けのことです。
この衣装を目にしたボウイは山本さんに連絡をし、ツアー衣装の製作を依頼。ボウイは山本さんが当初、女性用にデザインしたというその衣装に加えて、彼のために新たにデザインしたミラーボールを思わせる衣装を、実際にライブで着用したそうです。一瞬で衣装が変わる様は、観客を大いに盛り上げたそう。
そのほか映像では、60着もの衣装を始め、ボウイの手書きの歌詞ノートや絵画、手紙など彼にまつわる貴重な品々が回顧展で展示された様子も存分に観賞することができました。また、ボウイと親交のあったマネージャーさんやスタイリストさんが彼について語る姿が楽曲とともに時代に沿って映し出され、これはもう本当に、本当に、ファンにはたまらない内容となっていました。
映像の最後では、ボウイが野外ライブで「ヒーローズ」を披露した様子が流れ、思わず目頭が熱くなりました。客席からもお客さんたちのすすり泣く声が聞こえてきて、映像の中で彼の音楽に身をゆだね、感動の涙を流すお客さんの様子と相まって、彼がたくさんの人々に愛されていることがひしひしと伝わってきました。
日本でも2015年に公開されたこの映画。何と、1月23日から東京の新宿ピカデリーと大阪のなんばパークスシネマにて1週間限定の追悼上映が決定したそうです! さらに、2017年春には、回顧展そのものがまるごと日本で開催されることが決定しています。日本にお住まいの方はぜひ一度訪れてみてはいがでしょうか。
最後に、デービッド・ボウイさんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。