ジャコメッティ展についての講演会に行ってきた

あけおめ、ことよろ、ハピニュヤ。英国ニュースダイジェスト編集部の(籠)です。ロンドンのナショナル・ポートレート・ギャラリーで開催されているジャコメッティ展についての講演会に行ってきたので報告申し上げます。

アルベルト・ジャコメッティとは、20世紀を生きたスイス人彫刻家・画家。いわゆる近代アートの巨匠の一人として西洋美術史に名を残す人物であり、現在はスイスの100フラン紙幣に彼の肖像画が描かれています。

昨年10月から、ナショナル・ポートレート・ギャラリーで彼の作品の展覧会が開催中。僕はこのジャコメッティ展にハマってしまい、もう5回も通っちゃいました。何が良いって、「えっ? 本当に同じ人がつくったの?」と目を疑うぐらい、時代によってつくる作品が大きく違う。しかも、観ているこちらの心までヒリヒリしちゃうぐらい、すごく苦しみながら作品をつくっていたというのがよく分かるんだな。クヨクヨしながらすごいことを成し遂げちゃう人って大好き。

ジャコメッティ展

ナショナル・ポートレート・ギャラリーで開催中のジャコメッティ展

ちなみにこのジャコメッティ展は1月10日までとなっています。もうすぐ終了というこのタイミングで、ナショナル・ポートレート・ギャラリーが7日夜に特別ゲストを呼んでの講演会を実施しました。そのゲストとは、ウィル・ゴンペルツさんというBBCの芸術分野における編集者をやっている人。今まで全く存じ上げなかった方なのですが、話がすごく面白い。「ジャコメッティはなぜ最も偉大な近代アートの巨匠なのか」をテーマに機関銃のように話しまくってくれました。聞いている方が息継ぎに困るくらい喋ってた。

ゴンペルツさんの話をものすごくかいつまんでまとめると、「ジャコメッティはセザンヌ、ピカソ、ゴッホ、デュシャンをも超える近代アートの巨匠だ。セザンヌのように複数の視点を持ち、ピカソのキュービズムと、ゴッホにも負けない表現主義を自分のものとし、デュシャンなんて目じゃないくらいのコンセプチュアル・アートを実現した。そして『自分が目にしているものは一体何だろう?』と問い続けながら、本当に少数の同一モデルを何度も何度も描き続けた彼こそが真の芸術家である」。実際に展覧会を鑑賞してみると、この主張の意味することがよーく分かります。

既に述べたように、展覧会は1月10日まで。僕の中ではかなり大ヒットな内容だったので、今週末にお時間ある方はぜひぜひ。

2016年も英国ニュースダイジェストをよろしくお願い致します。(籠)

Giacometti: Pure Presence
£15
1月10日(日)まで
National Portrait Gallery
St Martin’s Place, London WC2H 0HE
Tel: 020 7766 7344
Charing Cross駅
www.npg.org.uk/whatson/giacometti/exhibition.php

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