Yoshikiのロンドン公演に行ってきた
by 編集部員(籠)
皆様こんにちは。英国で発行している日本語情報誌「英国ニュースダイジェスト」編集部の(籠)です。さっそく本題突入。世界的な日本人ミュージシャンの一人であるYoshikiのロンドン公演に行ってきたので、報告申し上げます。
ロンドン公演の会場となったのは、テムズ河沿いに立つロイヤル・フェスティバル・ホール。英国が世界に誇るロンドン・フィルハーモニー管弦楽団が本拠地とする、言わばロンドンのクラシック界における総本山みたいなところです。
僕と同世代の男性(今年で早35歳)の多くが、若いころにXに憧れた経験があるんじゃないでしょうか。Xのコピーやってたバンドたくさんあったし、あと同級生の男の子なんて全く眼中にないような女の子たちがYoshikiのブロマイド写真を大切に持ってたりして「Xにはかなわねえ」ってぼやいたりしてたな。
そんなことを思い出しながら会場に向かう途中にふと頭をよぎった疑問が、「今日のロンドン公演に来るファンの中に、あのころのX JAPANの凄まじさを知っている人が一体どれくらいいるのだろうか」ということ。だって、オリジナル・メンバーがいったん解散してからもうずいぶん経つし。しかも、「Yoshiki Classical」と題した世界ツアーの一環として行われる今回のロンドン公演に登場するYoshikiは、ピアニストとしてのYoshiki。まあ別に、Yoshikiだけが好きっていう人がたくさんいたからって何も問題はないのだけれど。
一番チケットが安かった最上階の僕の席から周囲を見回すと、来場者のほとんどが一般的な普通の大人たち。スーツ姿の男性と黒いドレスの女性のカップルみたいな。日本人は3、4割で残りがイギリス人含む現地の人々といった感じでしょうか。ごく普通のクラシック・コンサートに来た感じ。
そして僕の隣にやってきたのが、20代半ばくらいと思われるドイツ人男性。日本への留学経験があるらしく、とても日本語を流暢に話す方で、開演までのおしゃべりに付き合ってくれました。彼曰く、思春期にインターネットを通じてX JAPANの存在を知り、よく彼らの音楽を聴いていたそう。「でもYoshikiの一人の音楽ってほとんど聴いたことないんだよね」と言ってました。
そんなこんなしていると、Yoshikiの自己紹介的な映像が流れた後で、本物のYoshikiが登場。7人の弦楽器奏者を携えながら、華麗なピアノ演奏を次々と披露しました。で、一曲ごとに英語でMCをしてくれるの。ものすごく流暢な英語で、しかもユーモアがあって、観客の掛け声にもアドリブで返す(もちろん英語で)みたいなかなり高度なことやってました。
全2部構成となったコンサートの第1部の最後の曲は、天皇陛下御即位十年をお祝いする国民祭典の奉祝曲。「いやあ、美しい曲だなあ」と悦に浸りながら聴いていたのですが、隣のドイツ人男性がなんだかゴソゴソしていたのがちょっと気になっていたんですよね。曲が終わって照明がぱっと明るくなってから横を見たら、彼、号泣してた(笑)。曲に感動して泣いちゃったみたいです。
そしてインターバルを挟んで第2部。英国人が大好きなクイーンのボヘミアン・ラプソディーを披露するなどのサービス旺盛ぶりでした。ちなみに第2部では、これ別に言っちゃいけないことではないと思うので言っちゃうのですが、Yoshikiが演奏している最中に恐らく公式カメラマンと思われる人があまりにもパシャパシャやるもんだから、MCのときにしゃがんでとても穏やかに英語で「You should shut up a little bit」って言ってたのがとてもかっこよく、同時に怖かったです。あのカメラマンさんは怪我なく家に帰れたのでしょうか(冗談ですよ、念のため)。
で、2部の後半になると、Yoshikiがオリジナル・メンバーであるToshi、Taiji、Pata、Hideとの出会いについて語り始めました。驚いたことに、それぞれのメンバーのエピソードを披露する度に、観客から大きな歓声が起こるんです。今は亡きHideとTaijiそしてYoshikiの父親に捧げると言ってYoshikiのオリジナル曲「Without You」の演奏が始まると、会場のあちこちからすすり泣きの音が響き始めました。隣に座っていたドイツ人はまた騒がしくなった。左前方に座っていたメガネ、ピアス、スーツ姿の英国人と思われる男性も人目もはばからず泣きじゃくっていたかと思ったら、どうしても我慢できなくなったみたいでハンカチで顔を押さえながら途中退場しちゃった。
日本人以外の人も皆、Yoshikiの音楽を通じて、X JAPANのことを思っているんだね。そう気付いた僕も思わずもらい泣きしちゃった。
そんな涙、涙の展開になることを予期していたかのように、ラストは「Endless Rain」で締めくくり。花などのプレゼントを持ったファンが1人、2人とステージ前に近付いていったかと思えば最終的に100人ぐらいが殺到し、興奮渦巻く中で幕を閉じました。なんかとっても特別な体験した気がする。
Yoshikiロンドン公演の様子を写した写真を英国ニュースダイジェストのフェイスブックにもUPしているので見てください。感動をありがとうございました。(籠)