ロンドン・マラソンに出場することになった その5

by 編集部員(籠)

再びロンドン・マラソン体験談の続きです(しつこくてごめんなさい)。

レース前には、30キロ地点となるカナリー・ワーフまでは1キロ5分ぐらいのペースで走ってみて、調子が良いようならそこからペースをグンと上げていこうかな、といったイメージを描いていました(今振り返るとかなり甘ちゃんな見通しだった)。でもカナリー・ワーフを通過したときには、右足が軽く痺れてきちゃっていて。ペースはここからむしろガクンと落ちていったんです。

ちなみに、ロンドン・マラソンのウェブサイトでは、僕のようなド素人ランナーのラップ・タイムもウェブサイトに逐一アップされていたようです(本当にこの大会の運営は素晴らしいの一言に尽きる)。僕がレースに参加することを知ってた方々には、そのバテっぷりがすっかりバレていたということか。

さて、ハイテク建築が並ぶロンドン第2の金融街で僕がもがき苦しみ出したころ、コース終盤の沿道には、誠にありがたいことに、応援に駆け付けてくれた英国ニュースダイジェストの社員の皆様が僕の通過を今か今かと待っていてくれていました。

ところが、後で聞いた話なのですが、4万人前後ものランナーがいっぺんに走る大会で団子状態で動く素人集団の中から特定の走者を探し出すっているのは極めて難しいことなのだそうです。しかも写真を撮るのはもっと難しい。バテバテで走っている走者の方が応援に来てくれた人を探すのもまた然り。

ロンドン・マラソン

モハメド・ファラー選手

ロンドン五輪では「モボット(YMCAの「M」の恰好)」のポーズで人気を集めたモハメド・ファラー選手(中央に頭と右肩が見える)を撮ろうとしたけどメディア関係者に阻まれちゃったみたい(同僚撮影)

ロンドン・マラソン

推定35キロ付近

推定35キロ付近で同僚が撮影してくれた僕です(右端にいる)。ごめんなさい、僕の方は気付くことができなかった(同僚撮影)

ロンドン・マラソン

ビッグ・ベン付近

ビッグ・ベン付近で撮影してもらった僕(真ん中に小さくいる)。ごめんなさい、ここでも気付けなかった(同僚撮影)

35キロ地点を過ぎると、血液と酸素が足の方ばっかりに送り込まれちゃって頭まで届いていないのがはっきりと自覚できるほどでした。まあ平たく言うと頭がボーっとして視界が狭まってきたんです。もちろん足運びは鈍重の極み。沿道からの応援の声も耳に入らなくなってきちゃった(でもときどき「ガンバレ!」って日本語で叫んでくれた見ず知らずの日本人または英国人らしき方々がいて、それには反応しちゃいました。とてもうれしかったです。ありがとうございました)。

ビッグ・ベンを通り過ぎて「あと800メートル」っていう標示を見ても、まだ足取りは軽くならない。「ここで最後のひと踏ん張りをすればゴールだ。もうすぐ、もうすぐ……」とかなり長時間にわたって念じながら走った後で顔を上げると「あと600メートル」って書かれていたのを見たときには、「200メートルしか進んでいないわけがないじゃないか!」と叫ぶことさえできぬまま、何度寝て起きても同じつらい毎日が繰り返される「世にも奇妙な物語」的な恐怖を覚えました。

10キロマラソンや、ハーフ・マラソンはこれまで何度も楽しんでいたので、フル・マラソンもこの調子で、なんて考えていたのがやっぱり甘かったんですね。ありゃ生き地獄だった(続く)。

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