パリ革命日記 Part1
By 編集部員(月)
12月29日夜。毎年恒例、年末休暇に入ったと同時に我が身を襲った大風邪にうなされつつ、ミュージカル「レ・ミゼラブル」25周年記念コンサートのDVDを観ていました。
♪Will you join in our crusade? Who will be strong and stand with me?♪
仏人作家、ビクトル・ユーゴー作の同名小説で、王政復古後の時代に生きたとある囚人と革命を夢見る若者らの人生を描いたこの作品を観ているうちに、「貴重な休みを寝ているだけで終わらせて良いのか」という熱い思いがふつふつと。翌日には元旦から3日までのパリ行きのチケットを購入していました。
今回の旅、2つのテーマを決めました。
一つは美術館。(籠)さんが行って感動のあまり号泣したという、グラン・パレで開催中のモネ展と、前々から観たかったパリ市立近代美術館のデュフィ作「電気の精」と出会うこと。
そしてもう一つは、作家などの文化人や革命家が集った文学カフェめぐりをすること。
1月1日、元旦。「元旦に美術館に行くような酔狂な人はそういないはず」と踏んでモネ展へ。ところがどっこい、外には大勢の人が行列を成し、張り紙には「ここから3時間待ち」との無情な言葉。考えてみれば元旦なんて、デパートも大多数の観光地も閉まっているわけで、行き場を無くした世界各国からの旅人たちが集結していたんですね。
でも「あの美術展に行ったのは、生涯に残る思い出」とのたまう(籠)さんの言葉を信じ、列の最後尾に。風邪っぴきの身でパリの寒空の下、待つこと約2時間半。ようやく建物内に入ったときには、それだけで達成感が漲りました。
で、肝心のモネ展ですが……。間近で、遠くから、座って、再び戻ってまた、と何時間も何時間も、ひたすらモネと向き合う至福のひととき。そして観終わった瞬間、これでロンドンにトンボ帰りしても本望だ、と思いました(しなかったけど)。この感動はfrom staffで語っているので、良かったらどうぞ。
そして翌日。すべての国立美術館が無料になるという第一日曜日に当たってしまったこの日、ルーブルやオルセーに群がる人々の姿に恐れをなしつつパリ市立近代美術館へ向かうと……やっぱりすごい人・人・人です。仕方なく行列に加わりましたが、なんか空気がおかしい。説明がつかない違和感を覚え入り口に行くと、その列は特別展のバスキア展専用で、私の目当ての常設展はガラガラだったのでした。
無事、常設展に入り込みましたが、今度はデュフィの作品が見付かりません。歩き回った後、係員の人に尋ねてみると「デュフィは3階にある、けど特別展が2階にあるから、3階へ行くには特別展のチケットが必要」というではないですか。
デュフィは無料の常設展。特別展に入るには、有料+2~3時間待ち。「そんなのナンセンスだ、私はデュフィを観るためにロンドンから来た」と熱く訴えると、何と係員が、「私の横で何か話しながらピッタリついてきなさい」と言って3階まで私を先導してくれたのです。ちなみにここまでの会話はすべて、係員フランス語、私英語。お互い何を言っているのか解せないのに、情熱ってすごい。部屋いっぱいに広がる、軽快で色彩鮮やかなデュフィの世界に浸り、意気揚揚とテーマその一を完結させたのでした。
次回はカフェめぐりについて、お話させていただきます。(月)