パリ日記② ヒコーキでジュテーム
By 編集部員(籠)
パリに仕事で行けると意気込んでいた僕ですが、やがて「ジュテーム」ってただ囁いていればいいわけではないということに遅ればせながら気付きました。
今回のパリ旅行では、飛行機を利用することになっていたんです。
ロンドン在住者がパリへ行くのであれば、ユーロスターを使うのがより一般的かと思います。じゃあなんでわざわざ飛行機使って行くことになったかというと、要はそうするように、企画会議で提案したアンニュイなHさんに命じられたからです。
英国-日本間を移動する際に、パリを中継地点として使う日本人が多いようだから、お前も体験してこいと(なのに日本まで帰国する時間はもらえなかった)。特に、シャルル・ド・ゴール空港は長くて言いにくい名前であるのに加えて、広くて迷いやすいと評判なようだから、実際のところどうなのか十分に調べて来いと(あなたが方向音痴なわけではなくて?)。空を飛ぶのは人間のロマンだと(あっ、それは言われてません)。
ということで、ヒースロー空港から飛び立つことに。搭乗時間は、約1時間15分。セキュリティー・チェックなどが厳しいからと、場合によっては3時間前に空港に到着することを求められるこのご時世に、パリ行きの飛行機はチェックイン・タイムの締め切りが30分前でした。田舎のバスに乗るようなスケジューリングです。思わず気が抜けてしまって、ごめんなさい、取材中だというのに機内で爆睡しちゃいました。
さて、シャルル・ド・ゴール空港に到着。まあとりあえず人の流れについていけばよかんべと思いながらとろとろと歩いていると、まずは乗り換え情報などを一覧できるスクリーンがありまして。
このスクリーンだけで十分だろうと思うのですが、まるで「シャルル・ド・ゴール空港は迷いやすいなんて絶対言わせない」とすごむかのように、航空券を挿入すると、次にどのゲートに向かえばいいのかを教えてくれる機械もありまして。
さらにはジュテームな訛りの英語で、「何かお手伝いできますか」と甘く囁いてくるボンジュールな空港スタッフもいました。「この空港は迷いやすいって聞いたから調べているんですけど」と聞いてみると、「あなたはどこに行きたいんですか」と尋ねてきます。「いや、この空港は迷いやすいって聞いたから調べているんですけど」ともう一度言ったら、「あなたはどこに行きたいんですか」ともう1回聞いてきたので、「いや、何でもないです」と答えて空港を出ました。
Hさん、気まずかったです。(籠)