職権乱用!? いえいえ仕事です
2006年11月28日 編集部員(月)
少し前のことになりますが、特集でミュージカル「ビリー・エリオット」の主役、ビリーを演じているマシュー・クーン君のインタビューに行ってきました。口さがない友人たちからは後になって散々「職権乱用」、「公私混同」などと言われましたが、とんでもない。これも仕事。あくまで仕事であります、はい。
インタビューが劇場内の楽屋で行われることになり、「おお、楽屋内侵入!」と喜び勇んで、いえいえ、仕事ですから神妙に劇場へ。楽屋口でビリーの集団(本文でも書きましたが、現在は4人の男の子たちが持ちまわりで主役を演じています)と遭遇! インタビューが始まる前から緊張がいや増します。そして華やかな劇場内とは打って変わって小さな小さな楽屋で待つことしばし、ついにマシュー君が現れました。以前からメディアなどでは「寡黙でシャイな男の子」と言われていたマシュー君。言わばインタビュアー泣かせな子なのでは……と危惧していたのですが、まったくの杞憂でした。いえ、おしゃべりな子というわけではなかったのですが、がっちがちに緊張していた私を見て哀れと思ったのか、一生懸命、私をフォローしようと話してくれたのです。これぞ私の作戦勝ちと言えるでしょう(いや違う)。
写真でも明らかなように、見た目は完全にアジア人のマシュー君。典型的な英国人少年を演じる上では、やはり大変なこともあるでしょう。でもどちらかと言えば飄々と、時に微笑みながら話し続ける彼からは、天真爛漫さと、しなやかな強さの両方が伝わってきました。
12歳らしい、良い意味での子供らしさと、とても12歳とは思えない思慮深さ、そんな両面を持つ彼とのインタビューは、私にとってとても有意義なものとなりました。「ああ、趣味と仕事が一緒になるって素敵だな」と満足しきって家路についた私。早速テープを聞き返してみて唖然呆然。インタビューの最中、突如始まったリハーサルの大騒音で、マシュー君のやわらかい声が、ものの見事にかき消されていたのです。おまけに彼のマンチェスター訛り……。テープを英国人に聞いてもらっても、「この訛りはわからないなあ……」と言われてしまったのでした。やっぱり人生、そうそう上手くはいきません。普段は自分の声をテープで聞くのは嫌だ、などと言っている私ですが(特に自分の英語を聞くのはつらい……)、この時ばかりは何度も何度も何度も聞き返したのでありました。(月)